作成日
:2018.12.07
2022.06.03 14:24
ロシアを拠点とする海外FX・CFDブローカーであるGrandCapital Ltd.(本社:Saint-Petersburg, Moskovskiy pr., 105, Russia
)は、同じくロシアのソフトウェア会社MetaQuotes Software Corp.【以下、MetaQuotesと称す】が開発した取引プラットフォームであるMetaTrader5【以下、MT5と称す】をリリースしたことを発表した。MT5では、ネッティングやヘッジング機能を付した取引ポジション計算システムを有し、板情報を確認することもできる。10月下旬に行われたMetaQuotesのMT5アップデートの際には、メインの取引プラットホーム画面と切り離すことができるフローティングウィンドウチャート機能も付加されたことで、タイムリーに市場環境を捉えることができるようになり、MT5を利用するユーザーに対し先進的な取引環境を提供している。また、21のタイムフレームと、11月初頭にリリースされた無料の経済指標カレンダーも活用できるようになり、より精緻な相場分析の実現が可能となったと言えよう。
更に、MQL5言語(MetaQuotes Language5)を用いてアルゴリズム取引を行うトレーディングロボットを開発・搭載し、ビジュアルテストや最適化などを行う多通貨ストラテジーテスター機能も提供している。またバーチャルホスティングを利用することで、トレーディングロボットや多岐にわたるトレードシグナルを遅延なく即座に利用することが可能だ。加えて、MT5と非常に高い親和性を持たせたMQL5マーケットは、トレーディング関連アプリケーション市場として世界最大規模を誇っている。このように、様々な高機能が付加され使い勝手が増したMT5を導入するブローカーが足元増加しており、Grand Capitalとしてもこの流れに追随したと考えられる。
新たにMT5をリリースしたことに際し、Grand CapitalのCEOであるStanislav Vaneev氏は、以下のようにコメントしている。
我々は、今まさに新たな革新的なテクノロジーを活用する時だと考えております。ブローカーの多くが従来より採用してきたMetaTrader4では多種にわたる顧客ニーズを確実に満たすことが難しくなってきていると認識しております。そこで、MQL5言語を用いた先進的なテクノロジーインフラであるMT5を活用することで、様々な顧客ニーズに対応していこうと考えております。新たにMT5をリリースすることで、我々のお客様に対し、より高度な取引環境を提供することができるでしょう。
Stanislav Vaneev, CEO of Grand Capital - LeapRateより引用
充実した取引環境を提供するMT5のリリースにより、顧客の更なる取引増加を期待するGrand Capitalの今後の業績に注目だ。
release date 2018.12.7
今年に入り、MT5を導入する海外ブローカーが多くなった。背景に、MT4提供元のMetaQuotes社が、近年MT4の提供を中止しMT5への移行に動いており、MT4を使用しているブローカーへは新しいサーバーが発行されず、プラットフォーム上で業務拡張を行うことはできなくなるということが、理由として挙げられるだろう。では、なぜこれほどまでにMT5への移行に時間が掛かっているのか、という点について述べたいと思う。驚くことに、日本国内のブローカーは、どこもMT5を導入しておらず、現状、MT5を利用したい場合については、海外ブローカーに口座開設する必要がある。MT5が普及しない理由のひとつとして、MT4とMT5の互換性が全くないことではないだろうか。MT4用に開発されたMQL4プログラムは改修でMT5へ移行はできず、MQL5プログラムで新たに開発しなければならない。そのことにより、MT5対応のEAやインディケータを新たに開発するためには長い時間と新たな技術を要するため、開発者側としては現状維持を保つことが無難であるという認識であるように見られる。MT5への完全移行は、MetaQuotes社サイドがMT4の提供中止とサポート終了という思い切った対応をとらなければ、難しいのかもしれない。
作成日
:2018.12.07
最終更新
:2022.06.03
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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