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入金一時停止のビットフィネックス、出金処理にも遅延が発生

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update 2021.08.31 15:22
入金一時停止のビットフィネックス、出金処理にも遅延が発生

update 2021.08.31 15:22

ユーザーの報告で法定通貨と仮想通貨の出金遅延が発覚

iFinex Inc.が運営する大手仮想通貨取引所であるBitfinex【以下、ビットフィネックスと称す】は、今月16日まで全ての法定通貨での入金を一時的に停止することを発表[1]していたが、何らかの原因で、法定通貨や仮想通貨の出金にも影響が及んでいることがユーザーの情報提供で明らかとなった。

この真相に関して、ビットフィネックスは、法定通貨の出金手続きに問題が発生しているのは、一部のアカウントのみだと主張しているが、実際は多くのユーザーから出金が遅れているとの声が上がっている。SNSや掲示板サイトなどでも、ビットフィネックスの出金遅延に関する不満が寄せられており、少なからずコミュニティに影響を与える規模の問題に発展しているようだ。実は、出金関連でビットフィネックスがトラブルとなるのは、これが初めてではなく、今月に入って多くのSNSユーザーから出金の遅延に関して複数報告されている。

これについて、ビットフィネックスのコミュニケーション部門ディレクターであるKasper Rasmussen氏は以下のように発言している。

過去からの分も含め、法定通貨による出金手続きを進めています。しかし、まだ処理できていない分に関しては、出金が遅れてしまっています。申し訳ないですが、明確にいつ問題となっている出金が完了するかは予測できません。私が約束できることは、必ず資金をお返しするということと状況改善に努めるということです。

Kasper Rasmussen, Director of Communications at Bitfinex - Coindeskより引用

先日、ビットフィネックスは法定通貨の入金停止を発表した際に、出金に関しては一切問題はないとコメントしているだけに、二転三転する態度に疑念が持たれている。特に数か月前から報道されている、取引銀行との関係のねじれは、大きな不安要素となっている。しかし、Rasmussen氏によると、今回の件は、想定の範囲外の出来事で、いくつかの事象が重なり合って発生したという。出金リクエストの額は具体的には明かされていないが、比較的少額なため小規模な問題としてビットフィネックスは認識しているようだ。

海外の掲示板サイトには、あるビットフィネックスのユーザーが、法定通貨に加えて、仮想通貨での出金でも遅延が発生していることを報告している。このユーザーは、ビットフィネックスの関連会社が発行する仮想通貨であるテザー(Tether)の急落を受けて、保有していたビットコインを引き出そうとしたが、出金リクエストから6時間経っても出金処理がされていなかったという。またSNS上でも、別のユーザーが、ビットフィネックスのレバレッジ取引用であるマージンウォレットから資金を移動できなくなっていることや口座の米ドル資金が一時的に利用不可になっていたこと、リップル(XRP)の出金に4時間要したことなどを報告している。しかし現在は、ビットフィネックスの入出金は、再び正常に稼動し始めているという。

これまでの一連の騒動については、ビットコイン価格の吊り上げとリスク回避とされるテザー売りが集中したことにより、システムがオーバーロードしたことが原因だと指摘する声も上がっている。Rasmussen氏は、今回のケースは例外的なハプニングと主張しており、ビットフィネックスでの仮想通貨の入出金に関しても正常に行われていることを強調している。

release date 2018.10.16

出典元:

ニュースコメント

仮想通貨取引におけるリスク分散を再認識

仮想通貨取引所での入出金トラブルはよくあることである。日本でもサーバ間での通信障害が原因で、6月にbitFlyer(ビットフライヤー)で、日本円の入出金遅延が発生した他、9月にはZaif(ザイフ)がハッキングにより仮想通貨の入出金を停止している。今回のビットフィネックスにおける入出金の遅延要因については依然公表はされていないが、入出金のトランザクションが複雑なシステムの上に成り立っていることから、システム自体の障害やシステムの脆弱性を狙った外部からの攻撃とは常に隣り合わせであることを認識し、リスク分散の重要性に改めて気づくユーザーも少なくないであろう。現在、ビットフィネックスでは、法定通貨の残高がないユーザーがビットコイン(BTC)などのメジャーな仮想通貨取引をする場合、テザー(USDT)などの他の仮想通貨で取引する方法しかないという状況が発生している。そのため、同取引所上で米ドルペッグ通貨であるはずのテザーの価格が下落して米ドルとの価格乖離が起こり、ビットコインなどの仮想通貨価格が高騰するという事態が起こっているようだ。こうした状況が長引けば、顧客の不安がさらに高まり、ビットフィネックスの生存自体が危ぶまれる事態になりかねない。一刻も早い復旧が望まれる。


Date

作成日

2018.10.16

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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