Select Language

キプロス証券取引委員会、ライセンスのアップグレード申請期限を延長

キプロス証券取引委員会、ライセンスのアップグレード申請期限を延長

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.27 17:39
キプロス証券取引委員会、ライセンスのアップグレード申請期限を延長

update 2022.01.27 17:39

申請期限を10月末までに変更

キプロス証券取引委員会(The Cyprus Securities and Exchange Commission)【以下、CySECと称す】は、CySEC所管で、取引にレバレッジを採用する海外FXブローカーに対し、マーケットメイカー・ライセンスへのアップグレードを求める申請期限を、当初の9月14日から10月末までに延長したことを明らかとした。マーケットメイカーとは、売呼値・買呼値を提示するもしくは流動性供給を行う業者のことをいう。[1]

昨年9月に、CySECはゼロカット規定をブローカーへ各口座毎に適用することを求めており、これはブローカーの十分な資本増強と適格なライセンス取得という流れにつなげようとしていることが目的だと考えられる。CySECが導入した規制により、各ブローカーは資本増強を求めるマーケットメイカー・ライセンスへのアップグレードを行うか、顧客の口座ごとにゼロカット規定を設ける必要がある。規制の導入後、ライセンスのアップグレードを検討するブローカーが多く見受けられたものの、ブローカーは手続きに時間を費やすほか、追加の資本増強を要するため、期限内の申請書提出が間に合わないブローカーが多数見られた。そのためCySECはこの度申請期限の延長を決定したようだ。

一方、主要プライムブローカーの中には、顧客口座にゼロカット規定を設けるところが出てきている。ゼロカット規定を設ける際には、リスク管理をより効果的なものにするために各顧客の口座をモニタリングできるようにするとともに、企業努力によりブローカーが顧客のマイナス分をカバーすることになるため、ある程度の顧客数と出来高の規模を要し、ブローカーのバックエンドにアクセス可能なAPIを利用する必要があろう。

英国の動向を探ると、英国金融行動監視機構(The UK Financial Conduct Authority)【以下、FCAと称す】は、投資家保護の観点からブローカーの取り組み状況を注視している。依然正式な規制要件とはなっていないものの、ここ数カ月にわたり、ブローカー各社にマーケットメイカー・ライセンスへのアップグレードを推奨しているのが現状だ。そして実際に、英国を拠点とする複数のブローカーが、IFPRU 730Kライセンスにアップグレードを行い、マーケットメイク業務を営んでいる。

なお、このIFPRU 730Kライセンスを取得する英国拠点の企業は、730,000ユーロ(850,000ドル)の自己資金を要し、欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority, ESMA)が主導する第2次金融商品市場指令(Markets in Financial Instruments Directive, Mifid Ⅱ)とFCAの規制を遵守した経営を行うこととなるため、顧客保護の観点からは高品質のサービスを期待することができそうだ。一方で、強固な資本基盤を求められる現在の環境下では、マーケットメイク業務は資本集約型ビジネスといえる。そのため、リスク管理を怠るブローカーがマーケットメイク業務を営むことは、多額の資本を要することから、まさにブローカー自身が高いリスクを内包しているといえよう。

release date 2018.10.9

出典元:

ニュースコメント

規制下でも新たな顧客獲得戦略を打ち出すブローカー各社

CySECやFCA、ESMAといった欧州当局により矢継ぎ早に放たれる規制策を受け、米国最大のFXブローカーでForex.comを運営するGAINの業績が低迷を続けているように、一部のブローカーでは業績への影響が色濃く出始めている。また、利益・損失発生口座割合に関するデータの開示など、ブローカー各社にとって、少なくとも規制策への対応に追われているのが現状だ。そうはいっても、ブローカー各社もただ手をこまねていているだけではなく、新たな顧客獲得戦略を積極的に実行に移してもいる。例えば、EuropeFXがヘルタ・ベルリンとパートナーシップ契約を結んだように、マーケティング戦略にスポットを当てグローバルに顧客基盤の拡大を図るブローカーもあれば、CMCのように、プロ向けサービスとなるCMC Proと名付けたプロトレーダーの階層を設け、引き続きハイレバレッジな高付加価値サービスを提供することで収益の拡大を図るブローカーもいる。欧州全域で規制が強化される環境下で、顧客もオフショアブローカーへシフトしている兆しも見受けられることから、危機感を抱いたブローカー各社から、今後も顧客サービスの向上に主眼を当てた革新的な顧客獲得戦略が打ち出されることが期待される。


Date

作成日

2018.10.09

Update

最終更新

2022.01.27

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

Vantage Tradingで出金遅延、担当者が語る原因と対応

Vantage Tradingで銀行出金に関する遅延が確認されています。出金申請後に着金まで時間を要するケースが報告されており、SNS上でも混乱が発生している状況です。原因としては入金額の急増や決済システム側の処理制限が影響しているものと見られます。
update2025.10.24 19:00

bitcastleは詐欺業者?口座開設ボーナスで出金拒否多数

SNS上ではbitcastleから「出金できない」「口座を凍結された」といった報告が相次いでいます。本記事では、bitcastleで報告されている出金トラブルを紹介するほか、bitcastleは詐欺業者なのかどうか説明します。
update2025.10.21 19:30

XMTradingの入出金で銀行口座凍結?海外FX禁止の銀行に注意

SNS上では「XMTradingの出金で銀行口座が凍結された」とする投稿が一部で見受けられます。銀行によっては海外FXとの取引を禁止しているため注意が必要です。本記事では凍結リスクが高い銀行や仮想通貨送金の注意点を説明します。
update2025.09.03 19:00

Peska(ペスカ)は本当に安全?評判は悪くないが入出金リスクに注意

PeskaはFX業者とのコラボキャンペーンなどをきっかけに、急速にユーザーを増やしているオンラインウォレットです。しかし、新興サービスのため利用すべきか迷うという人も少なくありません。この記事ではPeskaの安全性や評判、オンラインウォレット業界が抱えるリスクなどを説明します。
update2025.09.29 19:30

メタマスク等の利用が規制対象に?金融庁がDEXの規制を議論

暗号資産WGでの議論を発端に、SNS上で「DEX利用が非合法化されるのでは?」といった投稿が話題になっています。本記事では、金融庁で議論されたDEX規制の現状や、SNSで広まる情報の真偽、海外FXユーザーへの影響などを解説します。
update2025.10.28 19:00

PayPayを使って海外FXとの入出金が可能に?Binance JapanとPayPayが提携を発表

Binance JapanとPayPayが業務提携を発表し、PayPayマネーを使った仮想通貨購入サービスの提供などが検討されています。本記事では、Binance JapanとPayPayの提携内容や、PayPayを使った海外FXとの入出金フローなどを解説します。
update2025.10.17 19:00

海外FXへの仮想通貨送金にはBybitがおすすめ!FXトレーダーに最適なBybitの使い方

海外FXの入出金によく使われる国内銀行送金が以前より使いにくくなっていることを受け、仮想通貨での入出金が注目を集めています。本記事では、仮想通貨送金をするならBybitがおすすめの理由や、海外FXユーザーに最適なBybitの使い方を紹介します。
update2025.08.29 20:00

Exnessでシステムエラーによる入出金の不具合が発生?SNSでも報告が相次ぐ

2025年10月、海外FX業者Exnessで入出金エラーが発生し、SNSでも不具合報告が相次ぎました。銀行振込やbitwalletで送金できない事例が確認されており、復旧後も不安の声が続いています。
update2025.10.16 19:00

XMはゴールド(XAUUSD)のスプレッドも広い?ボーナス取引で実質お得

XMTradingのゴールド(XAUUSD)はスプレッドこそ狭くないものの、スワップフリー口座や豪華ボーナス、約定スピードの速さで十分に利用の検討余地があると言えます。当記事ではXMTradingでゴールド取引が向いている・向いていないトレーダーを他社と比較しながら解説していきます。
update2025.10.22 19:00

話題のDCJPYとJPYCの違い|海外FXの入出金に使えるのは?

DCJPYというデジタル通貨が話題となっています。一方で、海外FXユーザーの間ではJPYCへの期待も高まっています。本記事では、DCJPYとJPYCの特徴や違いを比較し、海外FXトレーダーにとってどちらが送金手段の選択肢となるのかを解説します。
update2025.09.26 19:30

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル