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仮想通貨取引所の貧弱なセキュリティ対策が明らかに

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update 2021.08.31 15:22
仮想通貨取引所の貧弱なセキュリティ対策が明らかに

update 2021.08.31 15:22

パスワードやドメインの基本的な安全対策でさえ万全ではない現状

ICOの格付けサイトのICOrating.com【以下、ICOratingと称す】が、仮想通貨取引所を対象に実施した最新の調査で、54%もの取引所において少なくとも1つ以上のセキュリティ上の欠陥があることを明らかにした。

ICOratingは、日間取引量が100万ドルを超える世界の仮想通貨取引所100社を対象に、様々な視点からの評価項目によりセキュリティを分析しスコア化している。今回の結果については、マウントゴックス事件や先月のZaifハッキング事件などの大規模な被害を目の当たりにした後の体制とは思えないほどの低スコアとなり、大手と呼ばれる取引所でさえ、運用上のセキュリティ対策の不十分さを露呈してしまった。

また、セキュリティ向上に向けた対策として、比較的導入しやすいログインパスワード運用についても、多くの取引所が対策を施せていない現状も明らかになっている。例えば、対象の取引所の41%が8文字以内、37%が文字と数字を含まない脆弱なパスワード設定を許可している他、5%がEメール確認を不要とし、4%が2段階承認を実施していない等、パスワード発行に一般的に用いられるプロセスすら導入されていない。こうした現状を受けて、パスワード設定に関するすべての評価項目を満たす取引所は全体の46%にとどまった。

さらにICOratingは、取引所が運営するサイトのドメインの安全性も重要な項目として挙げており、ドメイン登録情報を不正に変更されることを防ぐレジストリロックや、以前ウェブウォレットのMyetherwalletが被害を受けたDNSキャッシュポイズニングを回避するためのDNSSECなどの対策が取られているかがポイントとなっている。今回の調査によると、レジストリロックを導入している取引所がわずか2%にとどまっていることに加え、DNSSECについても10%という貧弱なセキュリティ体制の現状が明らかになっている。ドメインの安全性において、5つの評価項目のうち4つ以上クリアできたのが全体の4%のみであったことからも、こうした現状が読み取れる。

ICOratingの評価スコア[1]では、100点中90点以上を獲得した取引所はなく、最高点がCoinbaseの89点、次に80点のKraken、そして78点のBitmex及びGopaxが続いている。その他には、Cobinhoodが8位、Ethfinexが12位、Bittrexが13位、Binanceが17位という結果になっている。一方、最下位の評価となったのは、15点のOkcoin.cnで、25点のMercatox、34点のBithumbと共に低い評価を得ている。ちなみに先月大きな被害を受けたZaifは、29点の評価であった。

今回のICOratingによる調査には、動的IPアドレスの検証や資金引き出しの承認などの分野は含まれていなかったが、多くの取引所でパスワードやドメインに対するセキュリティといった基本的な対策すら不十分であることが明らかになり、多分にセキュリティの改善の余地があることが証明されたといえる。

release date 2018.10.3

出典元:

ニュースコメント

取引所のセキュリティ対策に監視の目が光る

仮想通貨業界では、1月のコインチェックのハッキング事件を皮切りに、直近のZaifハッキング事件など、盗難事件のニュースが絶えない。これまでも、多くの監督機関や専門家が仮想取引所のセキュリティの甘さを指摘しているが、この度の調査によって改めて多くの取引所で未だ包括的なセキュリティの安全性の確保が不十分であることが明らかにされた。尚、日本の取引所ではビットバンクが最高位の59点で22位の評価となった一方、先日ハッキング被害を受けたZaifは29点で89位となった。こうした定期的な調査は、仮想通貨取引所の現状と全体的な改善点を洗い出すための有用なレポートであることは間違いなく、同時に利用者へ注意喚起する意味でも有用であるといえる。
また、日本では9月12日に金融庁の第5回仮想通貨交換事業の研究会を開催し、みなし登録業者の登録申請状況と今後の新規仮想通貨事業者の受け入れ体制についての議論を行っている他、2018年9月20日には、テックビューロが運営する仮想通貨取引所Zaifの仮想通貨流出事件を受け、仮想通貨業者に向けて一斉調査を実施することを明らかにしている。この調査で金融庁は仮想通貨の管理方法など、合計16項目の調査票を各取引所に送付しているようだ。


Date

作成日

2018.10.03

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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