Select Language

金融庁が仮想通貨市場の現状と対策を議論

金融庁が仮想通貨市場の現状と対策を議論

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2021.08.31 15:22
金融庁が仮想通貨市場の現状と対策を議論

update 2021.08.31 15:22

健全な仮想通貨市場の確立を目指したルールを求めるJVCEA

日本金融庁(Japan Financial Services Agency, JFSA)は、今月12日に開催された第5回仮想通貨交換事業等に関する研究会[1]で、みなし登録業者の登録申請状況と今後の新規仮想通貨事業者の受け入れ体制についての議論を行った。

金融庁は、営業が暫定的に認められていた仮想通貨取引所である通称みなし業者を対象に行った監査の結果を共有[2]しており、現在16社あるみなし業者のうち、監査をクリアできたのは3社のみであったことが報告された。これまで当局は、新規事業者に厳しい対応を示しており、今回の報告でも16社中1社を登録拒否とし、12社の登録申請を差し戻している。審査中のステータスとなるのは、コインチェック株式会社【以下、コインチェックと称す】、株式会社Lastroots、みんなのビットコイン株式会社の3社で、順次金融庁による立入検査が実施される計画だ。また当局は、NEM流出事件後に提出されたコインチェックの業務改善計画書を審査中であることも強調した。

現在、日本での新規参入の意向を示している仮想通貨事業者は160社以上存在することがわかっており、これに対して当局は、30人の職員で仮想通貨取引所やトレーダーの監視、未登録の取引所の監督、登録申請の手続きの処理などの全てを行っている。しかし、拡大する市場の対応にリソース不足が懸念されているため、金融庁は2019年度から仮想通貨市場専任の人員を12人増員することで対応を強化する方針を示した。

今回の会議では、併せて日本仮想通貨交換業協会【以下、JVCEAと称す】が提案する自己規制ルールについても議論されている。JVCEAは、金融庁に認可された16社の仮想通貨事業者で構成される組織で、株式会社マネーパートナーズの代表取締役社長である奥山氏が会長を務めている。

提案された自己規制ルールでは、取引所が新規仮想通貨を取扱う際にJVCEAの認可が事前に必要になり、投資家保護などの観点からJVCEAが異議を唱えた場合は取り扱いが不可になる。これに加え、仮想通貨による証拠金取引の資金決済法や金融庁のガイドラインに準拠したコンプライアンス強化のルール化も訴えられている。JVCEAが提唱する仮想通貨取引におけるレバレッジ上限は4倍だが、特別な状況下においては、取引所が自由に設定できるようになっているという。このような証拠金取引の自主規制ルールは、投資家を想定外のリスクや過度な投機行動から守る手段になるとJVCEAは考えている。また自主規制ルールは、AMLやCFT(テロ資金供与対策)、反社会勢力への対策までにも及んでいるようだ。

いくつかのルールは施行までに時間がかかることが予測されているものの、JVCEAは早い段階での自主規制ルールの適応を目指すことを表明している。

release date 2018.9.18

出典元:

ニュースコメント

日本における仮想通貨市場の制約と発展

JVCEAは、2018年4月に発足した民間団体であり、1月に発生したコインチェックのNEM流出事件を受け、仮想通貨の社会的信用の回復や、仮想通貨の取り扱いに関する規定を整備することを目的として設立された。8月には、投資家を保護し率先して自主規制などのルール作成を行っていくべく、金融庁へ自主規制団体としての認定許可を求める申請を行っている。 この度の会議で最も注目すべき部分は、現在上限が無制限であるレバレッジを4倍までに制限するという提唱だろう。仮想通貨市場は価格の乱高下が激しく、投機性は高いものの投資家が多額の損失を抱えるリスクが懸念されていた。このレバレッジ上限の引き下げは、FX同様に海外市場と比較した場合において依然として保守的な意向であることが伺えるものの、日本は世界に先駆けビットコインを通貨として認めるなど、これまで仮想通貨に対して比較的寛容な態度をとっており、規制を整備することでより健全で透明性の高い市場を目指していると考えられる。


Date

作成日

2018.09.18

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

もう国内銀行送金は使えない?法改正で海外FXトレーダーを直撃する3つの入出金リスク

資金決済法の一部改正により、海外FXユーザーの間で、当たり前のように利用されてきた国内銀行送金による入出金が使えなくなる可能性が浮上しています。法改正が海外FXに与えるリスクと現時点で考えられる対策を説明します。
update2025.07.01 19:00

海外FX利用で国内銀行口座の凍結が増加?法改正後の入出金リスクとは

SNS上で海外FXユーザーの銀行口座が凍結されたことが話題になっています。本記事では、SNSで話題の凍結報告の背景を説明するほか、海外FX業界に迫る「本当の入出金危機」と今後の備えについて解説します。
update2025.07.09 19:00

海外FX業者Exnessへの入出金で​​銀行口座が凍結されるケースが発生

海外FX業者のExness(エクスネス)で国内銀行送金による入出金を行ったことをきっかけに、銀行口座が凍結されるケースがSNS上で話題になっています。SNS上では銀行送金2によるものとの声が見受けられますが、凍結の原因は収納代行業者と想定されます。
update2025.05.09 19:00

海外FXに仮想通貨で入出金する方法は?規制強化で仮想通貨送金が最適解か

海外FXの入出金ルート封鎖が加速しており、SNS上では「銀行口座が凍結された」といった投稿も見られます。そんな中、注目を集めているのが仮想通貨での入出金です。この記事では、海外FXに仮想通貨で入出金する方法や、仮想通貨送金時の注意点などを解説します。
update2025.07.15 19:00

GMOコインからBybitに送金してみた!送金手数料や最低送金額なども解説

Myforex編集部では、GMOコインからBybit(バイビット)に仮想通貨を送金してみました。この記事では、実際に送金してみた経験などを交えながら、送金手順やおすすめの送金通貨、トラベルルールの対応状況などを紹介します。
update2025.06.10 20:00

SBI VCトレードからBybitに送金してみた!手数料や送金時間も解説

Myforex編集部では、国内取引所のSBI VCトレードからBybitに仮想通貨を送金してみました。本記事では、送金手順や手数料、送金時間などを紹介します。
update2025.06.11 19:30

海外FXに「兵糧攻め」、bitbank・エポスの利用規制で仮想通貨送金にさらに注目集まる

bitbankが利用規約を一部改定し、今後は海外FXへの直接送金が難しくなりました。エポスカードもFXの利用停止を発表したほか、国内銀行口座の凍結事例も増加しています。こうした背景から、海外FXユーザーは入出金経路の見直しが急務となっています。
update2025.07.04 19:00

海外FXがオンラインカジノ規制の影響を受ける理由とは?出金できなくなるリスクも

2025年以降、オンラインカジノ規制の影響と見られる海外FX業者の国内送金の遅延が度々問題になっており、決済代行会社に関連したトラブルと言われています。なぜオンラインカジノ規制が海外FXに波及したのか説明するほか、今後考えられる影響も解説します。
update2025.05.28 19:00

Vantage Tradingで出金拒否やトラブルが多発中?SNSで報告相次ぐ原因とは

Vantageで原因不明の出金拒否が、多数発生している声を取り上げていきます。Vantageで出金拒否が発生する理由や実際にVantageへ問い合わせた際の回答などもあわせて紹介していきます。
update2025.05.16 19:00

スマホ用MT5でZigZagが使える!iOS版に平均足ほか新機能が複数追加

iOS版MT5に待望の新機能が複数追加されたことにより、平均足チャート、ZigZag、マーケットプロファイルの実装に加え、データウィンドウ強化や取引レポート機能など視認性と操作性が向上しました。アップデート内容とトレードスタイルごとの活用例などを紹介していきます。
update2025.07.09 19:30
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル