作成日
:2018.10.02
2021.08.31 15:22
仮想通貨やブロックチェーン関連のリサーチを行うChainalysis, Inc.(本社:43 West 23rd Street 2nd Floor, New York, NY, 10010, United States)【以下、Chainalysisと称す】によると、現在流通しているビットコインのうち、36%は紛失またはマイニングされておらず、22%は投機目的で保有されていることが明らかになった。
Chainalysisは、ビットコインの通貨供給量に焦点を当て、ここ1年間、継続的に調査を実施している。今回、公開されているブロックチェーンのトランザクションやビットコインの通貨供給量を分析した結果、多くの投資家や投機筋が今夏を通してポジションを持ち越していることが新たにわかった。今年5月から8月の期間はその割合はほぼ一定で、前述の通り、22%が投機目的、30%前後が投資家が長期投資を目的に保有しており、結果的にビットコイン市場の安定に繋がっているという。このことからChainalysisは、ビットコイン価格は以前よりもニュースなどに敏感に反応しづらくなっており、規制やプロジェクトの技術開発などの、よりファンダメンタルズな情報に影響されるようになっている、と結論づけている。
以前にもChainalysisは、ビットコインについて報告書を公開しており、今年に入って発生したビットコイン価格の急落についても分析を行っている。その分析によると、ビットコイン価格の急落は、長期保有していた投資家が、投機目的の新規参入者に一気に売り渡したことで、バランスを崩したことが原因と考えられている。事実、昨年12月から今年4月の期間、約240億ドル相当ものビットコインが市場で売却されており、多くの専門家がビットコイン価格下落の引き金となったと指摘している。
仮想通貨のような新興市場は、何が市場を左右するシグナルとなるのかを明確にすることが、投資家に合理的な判断を促し、投資を定着させる重要なカギになるという。Chainalysisは、今回の調査のように市場を細分化して分析することで、様々な視点からより深い理解を得ようとしている。
また別のリサーチ企業であるDiarは、市場が成熟するにつれて、監視する役目にある米国政府機関のブロックチェーン関連の調査予算が増加傾向にあることを報じている。当局は、通常の3倍の予算となる570万ドルをブロックチェーン分析に充てており、Chainalysisはその内の530万ドル分の契約を手にしているという。中でも、特に税収の面で恩恵を受けるアメリカ合衆国内国歳入庁(Internal Revenue Service,IRS)は大口で、160万ドルで大口の契約を交わしている。当局は、常に仮想通貨市場に目を光らせており、今後、ビットコイン投資家にとっては厳しい時代になるのかもしれない。
release date 2018.10.2
現在では広く知られるようになった仮想通貨であるが、仮想通貨市場は新たなステージへと変化しつつあるようだ。昨今、仮想通貨関連のニュースが多く報道されるようになり、投資家達がニュースやメディアなどの誇大宣伝に対し耐性がついたことで、ビットコインなどの仮想通貨価格が上下することが少なくなったようだ。また、多くの新しい投資家が市場に参加したことで仮想通貨市場が再調整されており、今後は長期投資よりも投機目的の利用が強くなる傾向があるようだ。今回のChainalysisのリサーチでは、ビットコインなどの仮想通貨はユーザーベースで成長し続けているとし、これは仮想通貨普及への最初の課題が克服されたことを示していると記している。日本では今年1月のコインチェックのハッキング事件や先月発生したZaifのハッキングをメディアが大きく報道しており、日本の仮想通貨市場はまだまだ苦しい展開が続いている。一方で、LINEや楽天など大手企業が続々と仮想通貨市場への参入を発表するなど、業界への注目度は高い。今後、日本の仮想通貨市場もよい方向へと変化していくことを期待したい。
作成日
:2018.10.02
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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