作成日
:2018.09.14
2022.01.27 17:47
日本の金融先物取引業協会(The Financial Futures Association of Japan)【以下、FFAJと称す】は、9月14日、8月の店頭FX月次速報を発表した。速報によると、店頭外国為替証拠金取引の取扱業者である会員の同取引高が減少しており、取引活動の低下が続いていることが明らかとなった。
8月の店頭外国為替証拠金取引高は、298兆円(2.7兆ドル)と前月の301兆円から1.07%減少した。出来高の減少傾向は今年5月から続いており、6月は前月比12%の大幅減、7月も前月比7.61%減となっている。通貨ペア別の取引金額をみると、8月の米ドル円とクロス円の取引金額は258兆円となり、7月の265兆円に比べ2.8%減となった。一方で、取引所取引の出来高は2.5兆円と前月より4.32%増加した。
また、8月の通貨建玉合計は6.72兆円と前月から約3%減少となった。売り建玉が2.53兆円と7月の2.85兆円から減少する一方で、買い建玉は前月比6%増の4.36兆円となったことから、下落局面での逆張りが増えた模様だ。
FFAJは1989年に設立された一般社団法人で、金融先物取引業の適正円滑な運営を行う目的で発足した自主規制機関である。今年8月時点の店頭外国為替証拠金取扱会員数は、7月と変わりなく53社となっている。 なお、FFAJが公表した四半期別の協会会員の取引概況によると、今年の第1四半期は、取引所取引・店頭取引ともに出来高が前四半期に比べ20%を超える大幅な増加となっている
release date 2018.9.14
例年8月度は、夏枯れ相場と言われており、個人投資家や機関投資家が夏季休暇に入ることから取引高が減少し相場が冷え込むと言われている。また、7月に発生したトルコリラ大暴落の影響もあるかもしれない。しかし、5月から連続して出来高減少となると、例年通りと一言では言い表すことはできないだろう。背景として、今年春に、FX取引の規制強化として、日本金融庁がレバレッジ10倍への引き下げを検討しているとの報道があり、結局、反対意見多数でレバレッジ10倍案は見送りとなったものの、ハイレバレッジ取引が可能な海外FX業者へ口座移管したのではないかとも推測できる。また、金融庁の日本国内の仮想通貨投資に関する調査からも明らかとなったが、多くのトレーダーが、FX市場から仮想通貨市場へと移行したのではないかと思わざるを得ない。今年の第一四半期は出来高が大幅に上昇したが、9月から年末にかけてどう推移していくか、引き続き注目していきたい。
作成日
:2018.09.14
最終更新
:2022.01.27
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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