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CMEのNEX買収に英国・競争市場庁が調査に乗り出す

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update 2022.07.18 17:50
CMEのNEX買収に英国・競争市場庁が調査に乗り出す

update 2022.07.18 17:50

調査により買収に遅れが生じる可能性も

英国規制当局である競争・市場庁(Competition and Markets Authority)【以下、CMAと称す】が、英国での市場競争の健全性を保つ目的で、世界最大のデリバティブ取引所であるシカゴ・マーカンタイル取引所を運営するCME Group Inc.(本社:20 South Wacker Drive Chicago, Illinois 60606 USA[1])【以下、CMEと称す】による買収計画の調査に乗り出したことが明らかとなった。

CMEグループは、英国大手の債券・デリバティブブローカーであるNEX Group plc(2 Broadgate, London EC2M 7UR, UK[2])【以下、NEXと称す】に対して買収を提案し、合意真近かとされていたが、英国では、企業法に基づき、買収金額が7,000万ポンド(9,176万ドル)以上もしくは買収により英国市場で25%以上のシェアを占めると推定される場合、CMAにより調査が行われる。

今回のCMEによるNEXの買収金額は39億ポンド(51億ドル)と推定されており、規定の金額を上回ることは明らかだ。一方、シェア率の規定に抵触するかは明らかにされていないものの、買収による市場の独占基準は、買収金額を元に判断される可能性が高いようである。さらに、CMAがCMEによる買収により、市場の競争を阻害する可能性が高いと判断した場合、調査は第2段階に進むことになるが、そうなるとCMEにとって買収を成功させることはより困難となるであろう。

英国の法律事務所Slaughter and Mayによると、CMAの第2調査段階では、規制当局への付託による買収の差し止め、もしくは事業の一部の売却を求めることになるようだ。[3]

そうはいっても、CMEとNEXとの市場規模を鑑みれば、既に両社はそれぞれ債券市場、米国債先物市場の大半を握っていることから、今回の買収案に関し、競争法の違反についての見極めは難しいといえる。このことから、買収により市場の競争を阻害すると判断する決定的な材料が見当たらず、CMAが買収の差し止めを行うことは考えづらいともいえる。しかしながら、今回のCMAによる調査が買収を遅らせる可能性は十分にあることは間違いない。

尚、CMEによる買収案に関して、CMAは9月27日まで広く一般に意見や考えを受け付ける予定だ。

release date 2018.9.14

出典元:

ニュースコメント

世界最大のデリバティブ取引所を運営する、CMEグループ

CMEグループは、米イリノイ州・シカゴに本拠を置き、2007年にシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が、競合他社との大規模な買収合戦を繰り広げられている中、シカゴ商品取引所(CBOT)を買収したことにより、誕生したグループである。その後、2008年にニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)、2012年にカンザスシティー商品取引所(KCBT)を買収し、また2013年に英国のロンドンにCMEヨーロッパ(CME Europe)を開設している。現在、CMEグループの中核は、CME、CBOT、NYMEX、COMEXの4つの主要取引所で、金利・債券、株価指数、通貨、エネルギー、農産物、金属、天候、不動産などに基づく先物・オプションなど、幅広い商品群をそろえており、世界中の企業、金融機関および個人投資家などへサービスを展開している。 今回の同グループによるNEXグループの買収は、世界中の顧客にとって、取引およびポストトレーディングサービスが強化されるだけでなく、戦略的にも魅力的なものとなるはずだったが、この度の英国の競争市場庁の調査によって、CMEグループの買収案はどのような結果となるのか、注視していきたい。


Date

作成日

2018.09.14

Update

最終更新

2022.07.18

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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