作成日
:2024.02.08
2024.07.03 14:57
メタマスク(MetaMask)は最も有名な仮想通貨(暗号資産)ウォレットで、取引所から送金するとメタマスクに反映されない例がある模様です。この場合、どのように対処すれば良いでしょうか。
当記事では、メタマスクに入金が反映されない要因と対処法、送金する上での注意点などを解説します。
メタマスクに入金が反映されない理由は、いくつか考えられます。
メタマスクは、手動でトークンを追加する仕様です。トークンの追加ができていなければ、送金が完了しても表示されることはありません。
メタマスクはイーサリアム(ETH)ブロックチェーンと多数のEVMチェーンに対応しており、ひとつのウォレットアドレスの下にブロックチェーン別の管理画面が紐付く構造です。
EVMはEthereum Virtual Machineの略称で、日本語でイーサリアム仮想マシンと訳します。この技術を使って、スマートコントラクトの実行や管理が可能になります。
それぞれのブロックチェーン上の仮想通貨は、対応する管理画面から確認可能です。例えば、イーサリアムに送金したETHであればイーサリアムの管理画面で確認します。
そのため、間違って意図しないブロックチェーンで送金すると、入金が反映されていないように見えてしまいます。
メタマスクには、個々のウォレットアドレスが紐付けられています。ウォレットアドレスはアルファベットと数字の羅列であり、手作業で転記すると間違いの原因になります。
一文字でも間違えると仮想通貨は別のウォレットに送金されてしまい、意図したメタマスクに入金されることはありません。
メタマスクはイーサリアム(ETH)を基礎に構築されており、慢性的なスケーラビリティ問題が原因でトランザクション処理が遅れるケースがあります。
スケーラビリティ問題とは、ブロックチェーンの処理能力に起因する障害です。ブロックチェーンにトランザクションが集中すると、取引の遅延や手数料の高騰などが発生します。ビットコインやイーサリアムなどのブロックチェーンは、慢性的にスケーラビリティ問題に悩まされています。
ブロックチェーンが混雑している時は、メタマスクへの入金が遅れる可能性が高まります。
取引所からメタマスクに入金する場合、取引所側の送金処理が終わっていない可能性があります。取引所によっては、出金に時間を要する場合があります。
メタマスクは、ブラウザの拡張機能やモバイルアプリとしてサービスを提供しています。ブラウザやインターネットなどの利用環境が悪いと、入金が反映されない可能性があります。
メタマスクへの入金が反映されない場合の対処法として、以下のようなものが考えられます。
メタマスクでは、入金時にトークンが自動的に追加されません。メタマスクにトークンを追加するには、「+ トークンをインポート」から任意のトークンを検索して選択する必要があります。
また、マイナーなトークンの場合は、自身でコントラクトのアドレスなどの入力が必要です。
画像引用:メタマスク
メジャーなトークンの場合、メタマスク上で検索して追加することが可能です。手順を解説します。
メタマスクを開いて、トップ画面を下にスクロールし、「+ トークンをインポート」をクリックします。
このとき、左上のネットワーク選択で、追加するトークンのブロックチェーンを選んでおくようにしましょう。
画像引用:メタマスク
検索欄に追加したいトークン名を入力します。
表示されたトークンの中から、追加したいトークンにチェックを入れて「次へ」をクリックします。
画像引用:メタマスク
「インポート」をクリックします。
画像引用:メタマスク
「トークンがインポートされました」と表示されれば、追加完了です。
画像引用:メタマスク
以上、メジャーなトークンを検索して追加する方法でした。
続いて、検索で表示されないトークンの場合は、コントラクトアドレスを自分で入力して追加する作業が必要です。手順を解説します。
追加したいトークンのコントラクトアドレスを調べます。コントラクトアドレスは、「CoinMarketCap」や「CoinGecko」などのデータアグリゲーターのサイトで調べることが可能です。
CoinMarketCapの場合、トークン画面の左側の「コントラクト一覧」にあるコピーアイコンをクリックすると、コントラクトアドレスをコピーできます。
画像引用:CoinMarketCap
メタマスクを開いて、トップ画面を下にスクロールし、「+ トークンをインポート」をクリックします。
このとき、左上のネットワーク選択で、追加するトークンのブロックチェーンを選んでおくようにしましょう。
画像引用:メタマスク
「カスタムトークン」タブをクリックします。
画像引用:メタマスク
「トークンコントラクトアドレス」欄に、手順1でコピーしたコントラクトアドレスをペーストします。トークンシンボルが自動で表示されるので、問題なければ「次へ」をクリックします。
画像引用:メタマスク
「インポート」をクリックします。
画像引用:メタマスク
「トークンがインポートされました」と表示されれば、追加完了です。
画像引用:メタマスク
取引所から送金した場合は、送金履歴を確認します。取引所からの出金が承認されていない可能性があり、その場合はカスタマーサポートに問い合わせましょう。
取引所からの出金が承認されていれば、送金されたブロックチェーンやウォレットアドレスを確認します。
送金履歴を確認する方法は、取引所によって異なります。ここでは、Bybitを例に解説します。
以下のリンクよりBybitへアクセスし、ログインします。
右上の「資産」から、トークンを送金したアカウントをクリックします。
右上の「履歴」をクリックします。
「出金」を選ぶと出金履歴のリストが表示されます。「状態」欄を見ると、取引所のトランザクション処理の状況が確認可能です。
Txid(トランザクションID)をコピーして、次に解説するブロックチェーンエクスプローラーで検索すれば、ブロックチェーンの処理状況も確認できます。
今回はBybitを例に解説しましたが、基本的に他の取引所でも履歴から出金処理の状況や、トランザクションIDの確認が可能です。
ブロックチェーンエクスプローラーはトランザクションを検索するツールです。これを使って反映されていない取引のトランザクションIDを検索すると、ブロックチェーン上での処理状況を確認できます。
ブロックチェーンエクスプローラーには、メタマスク内からアクセス可能です。
画像引用:メタマスク
ブロックチェーンエクスプローラーを使って、トランザクションの処理状況を確認する方法を解説します。
上で紹介したようにメタマスクの「エクスプローラーで表示」をクリックすると、選択中のブロックチェーンに対応したブロックチェーンエクスプローラーが開きます。
イーサリアムの場合は、以下のように「Etherscan」が開くので、右上の検索欄に調べたい取引のトランザクションIDを入力します。
画像引用:Etherscan
検索したトランザクションの詳細情報が表示されます。ステータスが「Success」となっていれば、処理が正常に完了しています。ステータスが「Pending」となっている場合、トランザクションが保留中なので、もう少し待ってみるとよいかもしれません。
一方「Fail」と表示されている場合には、処理が失敗しているため、赤字で記載されている原因を確認しましょう。ガス代不足などが考えられます。
画像引用:Etherscan
意図しないブロックチェーンで仮想通貨を送金した可能性がある場合は、ブロックチェーンを切り替えてみるのが良いでしょう。
ブロックチェーンを切り替えて、それぞれの管理画面にアクセスすると、送金した仮想通貨が見つかるかもしれません。
切り替えたいブロックチェーンが表示されない場合、メタマスクの設定からブロックチェーンを追加できます。
画像引用:メタマスク
入金が反映されない理由がわからないときは、メタマスクの利用環境をリセットしてみます。ブラウザを一度閉じて再度開いたり、アプリを再インストールしたり、ブロックチェーンやトークンの再インポートをしたりすると、入金が適切に反映される可能性があります。
仮想通貨を送金する際、ウォレットアドレスを間違えると資金は手元に戻りません。送金先のウォレットアドレスは絶対に間違ってはいけません。
対策としては、ウォレットアドレスを登録して繰り返し利用したり、小額の送金でテストしたり、複数回の送金に分けるなどがあります。
別の脅威としては、メタマスクを狙った詐欺があります。特にX(旧Twitter)などでは、メタマスクのサポートを装ったフィッシング詐欺が蔓延しており、ハッキングの被害に繋がっています。
メタマスクに入金が反映されないとき、パニックになって、このような詐欺に引っ掛からないようにしなければなりません。
メタマスクはユーザーインターフェースや仕組みが分かりにくく、日本国内の取引所のような手厚いサポートも提供されていません。多少なりとも技術的な知識が必要なサービスであり、予期せぬ事態に見舞われた場合は、冷静に対処することが重要です。
作成日
:2024.02.08
最終更新
:2024.07.03
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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