作成日
:2023.08.24
2023.10.09 14:57
ライトニングネットワークウォレットは、その名の通り、ライトニングネットワークに対応しているウォレットのことです。
ライトニングネットワークは、ビットコイン(BTC)のレイヤー2にあたる技術です。ユーザーは、安価な手数料でビットコインを送金できるため、マイクロペイメント(少額決済)を実現できるなどのメリットがあります。
当記事では、ライトニングネットワークウォレットの概要を説明した上で、ウォレットのタイプや主要なウォレットを解説します。
ライトニングネットワークウォレットは、ビットコイン(BTC)のライトニングネットワークに対応したウォレットを指します。種類としては大きく分けて、カストディアルウォレットと非カストディアルウォレットの2つがあります。
これまでビットコインは、主に価値の保存手段や、決済ネットワークとして利用されてきました。しかし、ビットコインNFTやBRC-20トークンなどが登場しており、その使い道が多様化しています。
ビットコインNFTは、ビットコインブロックチェーン上で発行されるNFTです。正式には「デジタルアーティファクト」と呼ばれます。主流となっているイーサリアムのNFTと同じく、マーケットプレイスで取引可能です。
2023年5月、BRC-20トークンが盛り上がった際には、ビットコインブロックチェーンの取引が大きく増加し、取引手数料が高騰しました。ビットコインのスケーラビリティ問題が顕在化したことで、ライトニングネットワークが再注目されたといえます。
また、大手の仮想通貨(暗号資産)取引所もユーザーの送金手数料の負担軽減などを目的に、ライトニングネットワークへの対応を進めている状況です。
こういった環境変化に伴い、ライトニングネットワークに対応したウォレットの利用も拡大していくと考えられます。
2023年7月17日、大手取引所Binance(バイナンス)は、ライトニングネットワークを統合したことを発表しました。これにより、Binanceでのビットコインの入出金に、ライトニングネットワークの利用が可能となっています。
当記事執筆現在(2023年8月8日)、Binanceのビットコインブロックチェーンでの出金手数料は0.00005BTC(約210円)です。一方、ライトニングネットワークでは0.000001BTC(約4.2円)となっており、手数料が大幅に低減しています。
Binance以外の取引所でも、OKXやKrakenがライトニングネットワークとの統合を発表しており、ビットコインの取引環境が改善しています。
ライトニングネットワークは、ビットコインブロックチェーンの負荷を軽減し、取引速度や手数料の問題を解決するために開発された技術です。
具体的には、ブロックチェーンの外部(オフチェーン)で取引を行い、その後の取引結果をブロックチェーンに記録する仕組みとなっています。ビットコインをレイヤー1とすると、ライトニングネットワークはレイヤー2に位置付けられます。
多くのブロックチェーンは、異なる役割を持つブロックチェーンが階層別に独立して相互通信する「レイヤー構造」になっています。基礎的な役割を担うブロックチェーン層をレイヤー1と呼び、レイヤー1の情報処理を助ける層をレイヤー2と呼びます。
ライトニングネットワークは、ビットコインの取引速度と手数料を大幅に改善します。
通常、ビットコインブロックチェーンでBTCを送金する場合、約10分程度の時間が必要です。一方、ライトニングネットワークでの送金は、即時決済が可能です。ネットワーク全体で1秒間に数百万〜数十億ものトランザクションを処理できるとされています。
また、ビットコインの送金にかかる手数料は、高騰しがちで割高になる傾向があります。しかし、ライトニングネットワークはブロックチェーンの外部で資金の決済を行うため、非常に安い手数料で送金ができます。
ライトニングネットワークは、オフチェーンで取引を処理し、ビットコインブロックチェーンの負荷を軽減しています。
ライトニングネットワークでは、ペイメントチャネルを通じて資金のやりとりを行います。ペイメントチャネルとは、ユーザー間で資金を送金できる経路だと考えれば問題ありません。
ペイメントチャネルは、2人のユーザー間に存在しますが、多数のユーザーを介してネットワークとして機能します。例えば、ユーザーAとユーザーCは直接繋がっていなくとも、AからB、BからCへと資金を受け渡せます。
最終的に、ライトニングネットワークで処理された最初と最後の送金結果だけがビットコインブロックチェーンに記録されます。この仕組みにより、トランザクションをオフチェーンで処理しつつ、ブロックチェーンの負担を軽減しています。
ライトニングネットワークウォレットには、カストディアルウォレットと非カストディアルウォレットの2種類があります。それぞれの特徴は次の通りです。
カストディアルウォレットは、第三者が秘密鍵を管理するタイプのウォレットです。管理を委任しているので容易に利用できます。
また、仮にスマートフォンを紛失したり、壊れてしまったとしても、個人情報からアクセスを復活させられる可能性もあります。ただし、管理者の倒産や資産持ち逃げなどのリスクがあるため、管理者を信頼しなければいけない点が欠点です。
秘密鍵とはウォレットの所有者が管理する文字列で、仮想通貨の送金の際に必要となります。秘密鍵を他人に漏らすと、仮想通貨が不正に流出する可能性があります。
非カストディアルウォレットは、自身で秘密鍵を管理するタイプのウォレットです。従って、ウォレットの管理は全て自己責任なので、初心者にはあまり向いていません。
しかし、ハッキングの被害に遭いにくく、きちんと管理していれば、第三者の企てで資金を失う可能性は低いと考えられます。自分で資産を管理したい上級者向けのウォレットだといえるでしょう。
主要なライトニングネットワークに対応するウォレットとしては、次のようなものが挙げられます。
Wallet of Satoshiは、ライトニングネットワークウォレットの代表的なサービスです。少額決済のマイクロペイメントに広く利用されています。使いやすいインターフェースで、初心者にも人気のカストディアルウォレットとなっています。
Muunは、非カストディアルのライトニングネットワークウォレットです。送金の承認にマルチシグを導入しており、より強固なセキュリティを実現しています。
マルチシグとはマルチシグネチャーの略称で、ウォレットなどに利用される技術であり、マルチシグを採用するウォレットはマルチシグウォレットと呼ばれます。仮想通貨送金に複数人の承認を必要とすることから、従来のウォレットと比べて資金管理の透明性やセキュリティ性能が向上するとされています。
Breezは、日本のリクルート社も出資したライトニングネットワークウォレットです。非カストディアルウォレットとしてエコシステムを拡大しており、Breez POSシステムを通じて店舗での仮想通貨(暗号資産)決済を促進しています。
Phoenixは、非カストディアル型のライトニングネットワークウォレットです。使いやすいシンプルなインターフェースを売りとしています。
ライトニングネットワークウォレットの中でも人気が高い、Wallet of Satoshiの使い方を解説します。
アプリを保有していない場合、App StoreもしくはGoogle Playから「Wallet of Satoshi」をインストールします。インストールができたらアプリを開いてください。
「Read Disclosure Document」から利用規約を確認し、問題がなければ「Start」ボタンをタップします。
以下の画面が表示されたら登録は完了です。表示言語を変更したい場合は、画面右上のメニューバーをタップしてください。
言語変更するには「English」をタップします。
「日本」を選択すると、表示言語が日本語になります。
Wallet of Satoshiのアプリをダウンロードできたら、ウォレットのバックアップも忘れずに行っておきましょう。バックアップをしておけば、スマートフォンをなくしたり、壊れた場合でも、ウォレットを復元できます。
画面右上のメニューバーから「ログイン」をタップし、メールアドレスでログインすれば、ウォレットのバックアップができます。
BTCを受け取りたいときは「受信」ボタンをタップします。
受信方法が表示されます。任意の方法を選択し、BTCを受け取るための情報を取得します。
番号 |
項目 |
説明 |
---|---|---|
1 |
アットマーク |
ライトニングネットワーク経由で受け取りができるアドレスが表示されます。 |
2 |
BTCのマーク |
ビットコインネットワーク経由で受け取りができるアドレスが表示されます。 |
3 |
イナズママーク |
ライトニングネットワーク経由で受け取るためのインボイスを作成できます。作成後、インボイス番号が表示されます。(*1) |
4 |
撮影マーク |
カメラが起動し、ライトニングネットワーク用のアドレスなどを読み取れるようになります。 |
(*1)受け取りたい金額を入力するだけでインボイスは作成されます。
受け取るための情報には以下の3通りがありますが、どれを取得しても受け取りはできます。
上記の情報を送信者に伝えたら、受け取る準備は完了です。
受け取れたかどうかは、トップ画面の残高を見れば分かります。なお「支払履歴」をタップすると、これまでの送受信履歴の詳細が確認できます。
BTCを送りたいときは「送信」ボタンをタップします。
「送信」ボタンをタップした後は以下のようにカメラが起動し、送信情報が読み取れるようになります。送信情報を読み取ると送信手続きを進められます。
なお、画面下側にあるアイコンをタップすると、別の方法で送信情報の読み取りができるようになります。
番号 |
項目 |
説明 |
---|---|---|
1 |
キーボードマーク |
ライトニングネットワーク用のアドレスが入力できるようになります。 |
2 |
コピーマーク |
クリップボードにある送金情報が反映されます。 |
3 |
画像マーク |
任意の画像を選択できるようになります。読み取り可能な画像を指定すると、送金情報が反映されます。 |
4 |
バツマーク |
タップするとトップ画面に戻ります。 |
送金ができたかどうかはトップ画面の残高などから分かります。「支払履歴」をタップすると、より詳しい送金情報の確認ができます。
ライトニングネットワークウォレットは、カストディアルウォレットと非カストディアルウォレットの2種類がありますが、それぞれ異なる特徴を持っています。自身の知識量や用途、リスク許容度などに応じて、ウォレットを選択するようにしましょう。
作成日
:2023.08.24
最終更新
:2023.10.09
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
投資のヒントになり得る国内外の最新動向をお届けします。
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