作成日
:2023.03.28
2023.07.07 18:18
2023年初旬、Ordinals(オーディナルズ)プロトコルがリリースされ、ビットコイン(BTC)ブロックチェーン上でもNFTが発行可能になりました。このNFTは「Ordinals NFT」や「ビットコインNFT」と呼ばれており、既にマーケットプレイスで売買されています。
当記事では、Ordinals NFTの概要や注目コレクションを紹介し、将来性やその仕組みなどを解説していきます。
Ordinals NFTはビットコインのブロックチェーン上で発行されるNFTを指し、ビットコインNFTと呼ばれることもあります。
これまで、NFTといえばイーサリアム(ETH)NFTが主流でしたが、Ordinals Protocolが開発されたことで、Ordinals NFTが発行可能になりました。
これを受けて、クリエイターがNFTコレクションを公開し始めており、専用のマーケットプレイスで多数のNFTが取引されています。
Ordinals NFTの主なコレクションは以下の通りです。
画像引用:Bitcoin Punks
Bitcoin Punksは、イーサリアムの人気NFTであるCryptoPunksから派生したOrdinals NFTです。CryptoPunksの完全な複製であり、1万枚のOrdinals NFTを発行しています。
画像引用:Twelvefold
TwelveFoldは、Yuga Labs初のOrdinals NFTコレクションです。12x12のドットで構成されるアート作品で、ジェネラティブNFTとして300枚が発行されています。
ジェネラティブNFTとはデジタルアートの一種で、アルゴリズムや数学的な処理でランダムに生成される要素を含みます。それぞれ異なる背景や装飾品、表情などの要素を持っています。
なお、Yuga Labsは猿のキャラクターで有名なBAYC(Bored Ape Yacht Club)を筆頭に、数々の人気NFTコレクションを手がけています。
画像引用:Bitcoin Rocks
Bitcoin Rocksは岩のイラストのNFTコレクションで、イーサリアムの最初期のNFTであるEther Rocksのオマージュ作品です。
BitcoinShroomsはキノコをモチーフにしたキャラクターのNFTコレクションです。開発チームやクリエイターは明かされておらず、ビットコイン最初のNFTコレクションだと自称しています。
画像引用:BitcoinShrooms
公式ウェブサイトでは210種類のNFTが公開されていますが、当記事執筆時点(2023年3月22日)でまだ販売されていません。また、Discord(ディスコード)は閉鎖されており、謎の多いNFTコレクションとなっています。
Pixel Pepesは、カエルを擬人化したようなキャラクター「Pepe」のNFTコレクションです。Pepeは海外の掲示板サイトなどでインターネットミームとして流行しました。
画像引用:Pixel Pepes
Ordinals NFTは専用のマーケットプレイスで購入できます。
Ordinals NFTは次のステップで購入可能です。
Ordinals NFTを購入・保管するためには、Ordinalsに対応するBRC-20ウォレットを作成します。Ordinals WalletやXverse Walletなど、いくつか選択肢があります。
Ordinals Walletを作成するなら、まずは以下から公式ホームページにアクセスします。
ホームページ内の「Connect Wallet」からウォレットを作成できます。任意のパスワードを入力するだけで、新しいアカウントの出来上がりです。
画像引用:Ordinals Wallet
Ordinals NFTを買う際、対価としてビットコインを支払います。そこで、作成したウォレットにビットコインを送金して資金を準備します。
マーケットプレイスにウォレットを接続すると、Ordinals NFTを購入できます。
Ordinals NFTを探すにはいくつか方法があります。例えば、マーケットプレイスのランキング機能やコレクション一覧の利用です。
その他、Twitter(ツイッター)を使う方法もあります。ほとんどのマーケットプレイスがTwitterアカウントを持っているので、ハッシュタグやキーワードで検索してキャンペーンなどの情報を探せます。
Ordinals NFTは新たな技術であり、NFT市場に影響を与えるかもしれません。
2023年3月7日、Yuga LabsがOrdinals NFT初となるオークションを開催しました。
TwelveFoldのNFTコレクションを出品し、約7.11BTCから約2.25BTCの価格で288点のNFTが落札されました。その結果、24時間での売上額は約735BTC(合計1,650万ドル相当)に上りました。
Ordinals NFTの日間取引量は、2023年2月末に150万ドル以上の高騰を記録して以降、高水準で推移しています。
仮想通貨情報サービスのDuneによると、2023年3月22日時点でOrdinals NFTの日間取引量は50万ドルを超える水準にあります。
画像引用:Dune
NFT市場全体の日間取引量は数千万ドルに達しており、影響力は比較的小さいですが、今後の成長が期待されています。
ビットコインは対応するDApps(分散型アプリケーション)などのサービスが乏しく、イーサリアムほど利用が多くありません。しかし、Ordinalsの登場でビットコイン上のNFTが新しいユースケースとして確立されました。
これを受けて、ビットコインの保管や送金以外の利用が増えると予想されています。
仮想通貨関連企業Galaxy Digitalは、2023年3月3日に発行したレポートの中で、2025年までにOrdinals NFT市場が45億ドル規模に成長する可能性があると予想しました。
ビットコイン価格の上昇やOrdinals NFTの本格的な流行が前提となっていますが、Galaxy Digitalは十分可能なケースだと説明しています。
ちなみに、2022年におけるNFT市場全体の売り上げは約247億ドルです。
Ordinals NFTはOrdinalsプロトコルで発行されます。Ordinalsは、ビットコインの最小単位(1億分の1BTC)であるSatoshiにシリアル番号を付けて追跡します。ちょうど1万円札に記番号が付いているのと同じような状態です。そして、それぞれのSatoshiに約4MBまでのデータを付与できるようにしました。
つまり、Ordinals NFTとは、シリアル番号とコンテンツデータが付与されたSatoshiです。
Satoshiに画像や動画、テキストなどの情報を付与することをインスクリプション(Inscription)と呼びます。
Ordinals NFTを発行するには、OrdinalsbotやGammaなどのツールを利用してインスクリプションします。すると、Ordinals NFTに、固有の識別番号であるインスクリプション番号が割り当てられます。
マーケットプレイスに出品されたOrdinals NFTは、インスクリプション番号やテキストで検索可能です。なお、プログラミングの知識は不要で、手順に従うだけで作れます。
Ordinals NFTはイーサリアムNFTと異なる点があります。「データの所在」「永続性」「安全性」「希少性」の4つの視点から解説します。
多くの場合、イーサリアムNFTは、NFTのIDと外部データを紐付ける仕組みになっています。つまり、画像などのデータはイーサリアムとは別の場所に保管されています。
一方、Ordinals NFTは、コンテンツとなるデータを全てブロックチェーン上に保管します。
イーサリアムNFTは、発行された後でも、制作者などが内容を変更したり消去したりできる場合があります。これができるのは、多くの場合コンテンツデータがイーサリアム以外の場所で保管されているからです。
これに対してOrdinals NFTは、発行後にその内容を変更できません。
イーサリアムNFTはスマートコントラクトを介して操作されます。それ自体に問題はありませんが、スマートコントラクトは時に詐欺に利用されることがあります。
スマートコントラクトは契約を自動履行するプログラムです。自動販売機でたとえると、「利用者が必要なお金を投入する」「特定の飲料のボタンを押す」という二つの契約条件が満たされた場合に、自動的に「その飲料を利用者に提供する」という契約が実行されます。
例えば、悪意のあるスマートコントラクトに署名させて、ウォレット内のNFTを全て抜き取ってしまう詐欺なども報告されています。
一方、Ordinals NFTはスマートコントラクトを必要としません。本質的にはデータ付きのSatoshiにすぎず、ビットコインを取り扱う要領でシンプルにトランザクションを完結できます。
イーサリアムNFTは無限に発行できます。便利なシステムですが、供給過剰になるリスクもあります。
一方、Ordinals NFTは、Satoshiの残存数が発行上限になると考えられます。ビットコインの最大供給量が2,100万BTCに制限されているので、Satoshiの数にも限りがあります。
このことから、Ordinals NFTの方が希少性を保ちやすいといえそうです。
Ordinals NFTはいくつかの問題が指摘されています。
ビットコインの手数料は、主にブロックチェーンの混雑具合によって変動します。
トランザクションが混み合うと、手数料は高くなる傾向があります。ビットコイン価格が乱高下して取引需要が高まる局面では、手数料が高騰する現象がしばしば観測されています。
また、ビットコインの処理性能は高くありません。例えば、ソラナ(SOL)は1秒間に最大5万件のトランザクションを処理できますが、ビットコイは1秒間に7件程度です。
Ordinals NFTの需要が高まるとトランザクションも増え、これが手数料の高騰を招くかもしれません。
多くのNFTコレクションは、ロイヤリティ制度を採用しています。
ロイヤリティ制度はクリエイターの収益拡大を支援する制度で、NFTがユーザー間で取引される度に、数%のロイヤリティがクリエイターに支払われます。
しかし、Ordinals NFTは、このロイヤリティを設定することができません。これには賛否両論ありますが、クリエイターにとってはマイナスになります。
イーサリアムNFTはデジタルアートだけでなく、ブロックチェーンゲームやDeFi(分散型金融)、メンバーシップなど、多様な利用例があります。
一方、Ordinals NFTは、基本的にデジタルアートのみで利用可能です。ビットコインブロックチェーンにはWeb3.0関連のサービスが乏しく、使い道がほとんどありません。
Web3.0とは分権化された次世代のインターネット環境を指します。現代の中央集権型インターネット環境(Web2.0)は、大手IT企業が強い影響力を持っています。その一方、Web3.0では個々のユーザーが重要な役割を担います。
将来的に、ビットコインのエコシステムはイーサリアムのように拡大するかもしれません。しかし、現段階では使い道が少ないことが弱点だといえるでしょう。
Ordinalsは2023年にリリースされた新しい技術で、発展途上です。いくつかの課題もありますが、早くも仮想通貨市場の需要を掴みつつあります。NFT市場を成長させる可能性があり、今後の発展に注目です。
作成日
:2023.03.28
最終更新
:2023.07.07
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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