作成日
:2021.06.16
2022.04.20 12:27
6月12日、ビットコイン(Bitcoin)ネットワーク上における9割以上のマイナーの支持を受け、同ブロックチェーンの大型アップグレードであるTaproot(タップルート)が実施されることが決定した。
Taprootを実装するためには、一定期間内にマイナーがハッシュレートの90%以上を持って提案を支持する必要があったが、結果的に100%に迫る支持率を得てアップグレードが施されることが確定したという。通常、分散型ネットワークでコンセンサスを形成するには長い時間を要するものの、今回はSpeedy Trialと呼ばれる約2週間単位の投票プロセスを設けることで迅速な採決を実現するに至った。これによりビットコインブロックチェーンでは、今年11月頃に70万9,632番目のブロックでTaprootが有効化される見通しだ。
Taprootはシュノア署名およびマークル化抽象構文木(Merkelized Abstract Syntax Tree, MAST)と呼ばれる技術を核に、プライバシー性能の向上やスマートコントラクト機能の改善、取引手数料の削減、ライトニングネットワークの強化などを実現するという。長期的にはTaprootがツールやコーディングなどの利用環境にも好影響をもたらし、ビットコインネットワーク全体のユーザーエクスペリエンスを高めることが期待されている。
次のステップとして、約6ヶ月の待機期間中にマイナーが新しいビットコインコアに移行することが望まれているが、Taprootの実装は成功するのか、今後も同仮想通貨の開発活動を見守っていきたい。
release date 2021.06.16
出典元:
ニュースコメント
2017年以来の大型アップグレードに懸念も
Taprootは2017年に実施されたSegwit以来の大型アップグレードとして期待されているが、一部有識者はこれが再び混乱を招くと懸念している。当時、Segwitに続いてブロックサイズ拡張を目的に計画されたSegwit2xのハードフォークが中断され、最終的にはビットコインコミュニティが分裂する結果に至ったという。しかしながら今回、コミュニティでは技術革新が最も重要な要素になるとの意見が強まっているようだ。例えば、マイニング企業のMarathon DigitalでCEOを務めるフレッド・ティール氏は、主要なブロックチェーンプラットフォームとなっているイーサリアム(Ethereum)を引き合いに、Taprootでスマートコントラクトが強化されることがビットコインの将来性を高めるとの考えを示している。最近、イーロン・マスク氏の発言を受けてビットコイン価格は再び上昇を始めているが、仮想通貨市場はTaprootの実施にどのような反応を示すのか、今後も同仮想通貨の動向に注目していきたい。
作成日
:2021.06.16
最終更新
:2022.04.20
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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