作成日
:2021.05.27
2022.04.20 12:27
英国金融行動監視機構(Financial Conduct Authority, FCA)規制下の海外FX・CFDブローカーであるTickmillは、5つのデリバティブ取引所に対応したDMA(Direct Market Access、取引所に直接注文を出す形態)取引サービスを提供すべく、ウェブベースのチャート作成ツールを提供するTradingViewとパートナーシップ契約を締結した。
今回の提携を通じて提供されるDMAサービスは、CME(シカゴ・マーカンタイル取引所)とNYMEX(ニューヨーク・マーカンタイル取引所)、COMEX(ニューヨーク商品取引所)、Eurex(ユーレックス)に対応しているという。Tickmillの顧客は、TradingViewのサイトから離脱することなく、これらの市場に上場する先物などのデリバティブ商品を直接取引できるようになった。また、個人投資家はS&P500やEuro STOXX(ユーロ・ストックス)50を原資産とするEミニやマイクロ先物など、少額投資が可能な商品にもアクセスできる。両社が先物市場への参入障壁を引き下げると共にコスト競争力のあるサービスを提供することで、ユーザーは長期的な視点から投資を手掛けたり、従来個人投資家がアクセスできなかった商品を活用してポートフォリオをヘッジしたりすることができるという。
新たにデリバティブ取引を行う全ての顧客は、追加の手数料を支払うことなく、有料プランとなるTradingView PROにアクセスができる。また、既存及び新規顧客はTradingViewのプラットフォームを活用し、市場分析や投資アイデアの共有、他のトレーダーとのチャットサービスを利用することも可能だ。TickmillのCEOを務めるダンカン・アンダーソン氏は、先物取引においてユニークでシームレスなトレーディングエクスペリエンスの提供を試みる上で、広範な顧客基盤を構築するTradingViewとの提携は、合理的な判断であると言及している。また、ポートフォリオの分散に寄与する効率的な取引環境の提供を目指す中、今回の提携を通じて、全てのトレーダーがTradingViewを活用して多岐にわたる機能の利用や様々な商品へのアクセスが可能になったという。
TickmillはTradingViewと提携し、利便性の高いサービスを提供することで、更なる顧客取引の拡大が期待できそうだ。
release date 2021.05.27
出典元:
ニュースコメント
需要高まるTradingView
TradingViewのプラットフォームは、直感的な操作で使い勝手が良く、多彩なツールを活用した精緻なチャート分析が可能だ。また、同プラットフォームはFXや株式、先物、ビットコイン(Bitcoin)など、マルチアセットに対応したデータフィードを提供しており、広範なトレーダー層から高い支持を得ている。最近では、OANDAがTradingViewと提携しており、英国及び欧州顧客を対象にTradingViewのフルアクセスサービスを提供している。加えて、日本語にも対応したTradingViewのプラットフォームは、日本人ユーザーの間でも需要が高まっている状況だ。米国株式CFDの取り扱いを開始したTitan FXや、日本人ユーザーから絶大な人気を誇るXMTrading(エックス エム)などの有力海外FXブローカーの利用者からも、TradingViewとの提携を希望する声が挙がっているという。しかしながら現状では、日本語対応の海外FXブローカーはTradingViewを経由した注文サービスを提供していない。最近新たに3種類の仮想通貨商品を追加したeasyMarketsでは、TradingViewのチャートのみ利用できるが、TradingViewにログインして直接取引することはできない。海外FXブローカー各社がTradingViewの利用を望む日本人ユーザーの潜在需要を取り込むことで、顧客基盤の拡大を図ることに期待したい。
作成日
:2021.05.27
最終更新
:2022.04.20
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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