作成日
:2021.01.28
2021.08.31 15:31
インドの中央銀行であるインド準備銀行(Reserve Bank of India)【以下、RBIと称す】が、中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】実現に向け、その最適解を模索していることが明らかになった。
今月25日、RBIは「Payment and Settlement Systems in India」という題名の冊子をリリースし、同行がCBDC発行に関心を持っていることを示した。その中でRBIはプライベートデジタル通貨(Private Digital Currency, PDC)やバーチャル通貨(Virtual Currency, VC)、仮想通貨(Crypto Currency, CC)が人気を博している事実に触れ、法定通貨のデジタル版としてのCBDCの必要性、及びその運用方法に関する可能性を模索していると述べた。
ここ数年、RBIは様々なレベルでCBDCの研究を進めており、2018年にはワーキンググループを立ち上げてその望ましい姿と実現可能性を検証している。当時、RBI総裁が技術的な欠点を指摘し、法定通貨を代替するようなCBDC発行は時期尚早であると結論付けたが、仮想通貨市場の拡大を受けて同行は方針転換を図っているようだ。
現在、RBIはインターネットが普及していない地方向けのオフライン決済ソリューションを開発するよう企業に促している。RBIは2021年3月31日までにパイロットテストを実施し、得られた成果を基にCBDC発行の可否を決定する見通しだが、最終的にどのような判断を下すのか、今後も同行の取り組みを見守っていきたい。
release date 2021.01.28
以前から仮想通貨に懐疑的な姿勢を示してきたインドでは仮想通貨取引禁止法の導入が新たに検討されるなど、国内における仮想通貨の流通を制限する動きが見られている。その中でインド政府はビットコイン(Bitcoin)などの仮想通貨を保有する者に最大2億5,000万ルピー(360万ドル)の罰金と最大10年の懲役を科すことを提案し、支配的な立場を強めようとしているが、最高裁判所が仮想通貨取引の自由を認めた事実を覆すのは難しいようだ。このインド政府の目論見とは裏腹に、国内の仮想通貨市場はIAMAIに加盟したバイナンスを始めとする外国資本の力を借りて拡大に向かっているという。デジタル人民元の発行に向けて規制強化を実施する中国やロシアは、CBDCを国内唯一の仮想通貨とする方針で仮想通貨市場に対する締め付けを強めているが、インド政府はどのような動きに出るのか、今後も同国での展開に注目していきたい。
作成日
:2021.01.28
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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