作成日
:2020.09.17
2021.08.31 15:33
インドでは最高裁判所が仮想通貨取引の自由を認めているが、政府当局がそれを覆す形で仮想通貨取引を禁止する法律を導入しようと試みていることが明らかになった。
報道によると、インド政府は過去に起草された法律を基に、ビットコイン(Bitcoin)など仮想通貨を保有した者に最大2億5,000万ルピー(360万ドル)の罰金と最大10年の懲役を科すことを検討しているという。最近、インド政府はシンクタンクに仮想通関連政策の調査を進めるよう依頼し、仮想通貨取引を禁止すべきだとの結論に至ったようだ。この案は議会で議論する前に閣内で再度検討されるようだが、仮想通貨取引の合法化を望むインドの仮想通貨コミュニティは失望を表している。
これまでインド政府は、仮想通貨への投資は異常に高いリターンを餌にするポンジスキームのようなものだと警告してきた。しかしながら、インド国内には仮想通貨市場へのアクセスを求める投資家やトレーダーが少なからず存在し、国外のP2P(ピア・ツー・ピア)プラットフォームや仮想通貨デリバティブ、Crypto-to-Cryptoの取引サービスを駆使して仮想通貨取引を継続する手段を模索しているようだ。今の所、インド政府およびインド中央銀行(Reserve Bank of India)【以下、RBIと称す】はP2Pプラットフォームを規制しておらず、それが抜け穴になっているという。
2018年、RBIは規制対象となる全ての企業に仮想通貨取引や決済、それをサポートするためのサービスを提供しないよう指示を行なった。これに対して最高裁判所はRBIによる規制を違憲としたが、インド政府は仮想通貨取引の禁止を強行するのか、今後も同国での動きを見守っていきたい。
release date 2020.09.17
仮想通貨の排除を試みるインドだが、世界第2位の人口を抱える同国の仮想通貨市場は世界的にも魅力的な市場となっている。最近では成長の機会を狙ってKrakenがインド市場での事業拡大に乗り出すことを決定するなど、国外の大手仮想通貨取引所が参入してきているという。これに加えて、OKExがCoinDCXと提携してDCXFuturesを含む取引サービスの立ち上げを行なっており、インドで仮想通貨デリバティブ市場の開拓に着手している状況だ。国内企業の動きとしては、大手ITコンサルティング企業であるInfosysがMatic Networkのステーキングプログラムにバリデータとして参加するなど、世界的な仮想通貨プロジェクトに関与する者も現れ始めている。仮想通貨コミュニティへの締め付けを強めるインド政府だが、国内仮想通貨市場の拡大をどのように見ているのか、今後も当局の動向に注目していきたい。
作成日
:2020.09.17
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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