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米CSBS、マネーサービス事業者の監督基準を統一へ

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update 2021.08.31 15:31
米CSBS、マネーサービス事業者の監督基準を統一へ

update 2021.08.31 15:31

複数の州でのライセンス取得が不要となる見通し

米国における州金融当局の調整機関である州法銀行監督官協会(The Conference of State Bank Supervisors)【以下、CSBSと称す】は、マネーサービス事業者(Money Service Business, MSB)のコンプライアンスプロセスを簡素化するために、米国全土で監督基準を統一することを計画している。[1]

報道によると、CSBSはマネーサービス事業者に対して米48州で同じ規制および運用ルールを課すことを予定しているという。これによりマネーサービス事業者はコンプライアンス業務を合理化できるだけでなく、いずれかの州で認可を受ければ、複数の州に事業を展開する際に各州でライセンスを取得する必要がなくなるようだ。

このスキームではWestern UnionやPayPal(ペイパル)、仮想通貨取引所のコインベースなどを含む78社の大手マネーサービス事業者が恩恵を受けることになる。CSBSの代表であるJohn Ryan氏は、これまでと同様に堅固なフレームワークを採用するが、このスキームは各州で規制を設けるよりも遥かに効率的なものになると語った。

先日、バイナンスの米国法人であるBinance.USはアラバマ州でサービスを開始したばかりだが、これにより同取引所が未進出の州にも一気に事業を展開する可能性が出てきた。その他、仮想通貨関連企業としては事前入金不要の仮想通貨取引サービスを提供するLGO Marketsなどがマネーサービス事業者として運営しているが、監督基準が統一されることでどのような影響を受けるのか、今後もこれら企業の取り組みに注目していきたい。

release date 2020.09.17

出典元:

ニュースコメント

新興テクノロジーの台頭に対応するCSBS

1902年に設立されたCSBSは、全米50州およびコロンビア特別区、グアム、プエルトリコ、アメリカ領サモア、アメリカ領ヴァージン諸島の金融当局が構成する政府機関であり、各州に登録された約5,000社の金融機関を監視する役割を担っている。また、CSBSは金融業界で台頭する新興テクノロジーに対応すべく、リップル社を含めた33社を集めてフィンテックアドバイザリー会議を実施し、次世代の金融インフラに関して意見交換する場を設けるなど、将来に向けた活動も行なっているようだ。これに関してCSBSの元議長であるAlbert Forkner氏は、フィンテック分野における先駆者達の意見に耳を傾け、その恩恵が米国全体に行き渡るようソリューション開発を行いたいとの意向を表明した。米国では景気刺激法案の一環でデジタルドルの発行が検討されるなど、中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency, CBDC)の実用化が現実味を帯びてきているだけに、今後も同国での展開を見守っていきたい。


Date

作成日

2020.09.17

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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