作成日
:2020.12.14
2021.08.31 15:31
シンガポール最大手の金融機関であるDBS銀行(本社:6 Shenton Way DBS Building Tower One Singapore 068809
)が、今月半ばに仮想通貨取引所を正式にローンチすることを発表した。今年10月、DBS銀行が仮想通貨取引プラットフォームの立ち上げを計画していると報じられていたが、今回、同行はDBS Digital Exchangeの名称で仮想通貨取引サービスを開始することを決定したという。DBS Digital Exchangeは機関投資家や認定投資家向けのサービスとなっており、シンガポールドル、米ドル、香港ドル、日本円の法定通貨を軸に、ビットコイン(Bitcoin)、イーサリアム(Ethereum)、ビットコインキャッシュ(Bitcoin Cash)、リップル(Ripple)のスポット取引が可能だという。
加えて、DBS銀行はカストディサービスおよびSTO(セキュリティトークンオファリング)の提供を予定している。これに関してDBS銀行のCEOであるPiyush Gupta氏は、STOの開始まで1か月から2か月ほどの時間を要するものの、準備は整っていると言及した。また、Gupta氏はこのカストディサービスに対して、DBS銀行が既存のサイバーセキュリティ技術を活用したコールドストレージを提供すると述べた。
Gupta氏はDBS銀行が仮想通貨市場に参入することに関して次のようにコメントしている。
我が行は資本市場でのプレゼンスを活用して、強大なオリジネーション(プロジェクトやスキームを構築すること)能力を発揮します。加えて、我が行はプライベートバンキングおよびウェルスベース、機関投資家のクライアントベースを含むネットワークを活かすことができるでしょう。また、我が行は確立されたカストディハウスでもあるため、カストディサービスに必要な多くの能力や知識、経験を有しています。従ってDBS銀行はその強みを活かし、他社がなし得ない方法でこの取引所の取引量や流動性、規模を確保することができるのです。
Piyush Gupta, CEO of DBS - South China Morning Postより引用
最近、日本の大手金融企業であるSBIがSDXと協業してシンガポールで仮想通貨関連サービスを開始することを発表するなど、同国の仮想通貨市場は盛り上がりを見せているが、DBS Digital Exchangeのローンチがどのようなインパクトを与えるのか、今後もDBS銀行の動向を見守っていきたい。
release date 2020.12.14
東南アジア屈指の規模を誇る証券取引所であるSGXは仮想通貨インデックス製品を公開するなど、積極的に仮想通貨需要の取り込みを図る動きに出ている。今回、SGXはDBS Digital Exchangeに出資してその株式の10%を取得しており、DBS銀行の仮想通貨関連サービスをサポートすると同時に、同社の強みである市場インフラとリスク管理技術を仮想通貨市場で展開しようと試みているようだ。これに加え、SGXはDBS Digital Exchangeを介してSTOによる資金調達を可能にする環境を構築し、ブロックチェーンや証券のトークン化を用いた先進的かつ効率的な資本市場の実現を目指しているという。SGXのCEOであるLoh Boon Chye氏は、DBS銀行と協業してシンガポールが国際的な金融センターとしての地位を向上させることに尽力すると言及しているが、これがどのような結果につながるのか、今後も同国での展開に注目していきたい。
作成日
:2020.12.14
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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