作成日
:2020.10.20
2021.08.31 15:31
スウェーデン国立銀行(Sveriges Riksbank)【以下、Riksbankと称す】のStefan Ingves総裁が、中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】であるイークローナ(e-Krona)を受け入れる準備を進めるよう議会に要求していることが明らかになった。
今月15日、Ingves総裁はCBDCを発行するためにイークローナを法的に定義することが必要だとの見解を示し、議会に法定通貨の概念を見直すよう求めた。また、Ingves総裁はスウェーデンの国民が積極的にデジタル決済を利用し始めている事実に触れ、イークローナの発行を実現する必要性があることを指摘している。
現在、多数の国家がCBDC発行に向けたソリューション開発を進めているが、その中でスウェーデンのイークローナはパイロット段階に突入しており、他国の先を行く存在となっている。昨年4月、RiksbankはCBDCの調査委員会を立ち上げることを議会に提案し、同年末にRiksbankはアクセンチュアとの協業を発表している。
Ingves総裁は、Riksbankがイークローナ発行を完全に決断したわけではないと説明しているが、議会は同行の要請をどのように受け止めるのか、今後もスウェーデンにおけるCBDC開発の状況を見守っていきたい。
release date 2020.10.20
現在、欧州ではデジタルユーロの開発が急ピッチで進められているが、それ以外にもリトアニア銀行がLBCOINと呼ばれるCBDCをリリースするなど、各国で独立した動きが生じている。特に最近では金融業界をリードする英国がCBDC開発に注力しており、デジタルポンドの発行に向けて邁進しているようだ。既にイングランド銀行はCBDCと互換性のある決済インフラの構築に着手し、2022年までに現行の決済ネットワークであるRTGS(Real-Time Gross Settlement Service)をアップグレードすることを視野に入れているという。他方で、中国人民銀行(People's Bank of China)は様々な角度からデジタル人民元のテストを実施しCBDC導入を目指しているが、各国政府はどのような対応を取るのか、今後も仮想通貨市場での展開に注目していきたい。
作成日
:2020.10.20
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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