作成日
:2020.10.14
2021.08.31 15:31
経済協力開発機構(Organisation for Economic Co-operation and Development)【以下、OECDと称す】は、G20加盟国に向けて国際的な仮想通貨課税枠組みの採用を促すために、2021年までにガイドラインを発行することを計画している。
このガイドラインは、グローバルにサービス展開する仮想通貨取引所の台頭などを考慮し、各国の税務当局がビットコイン(Bitcoin)などの仮想通貨の取り扱いを明確にするための枠組みを提案するという。OECDは仮想通貨のダイナミックで可動性が高い性質を規制に反映すべきだと述べており、各国に対し仮想通貨市場を取り巻く環境の変化を想定するよう求めている。また、このガイドラインを通じてOECDは仮想通貨の技術的な側面に触れ、ウォレットプロバイダーやステーキング報酬などに関する問題についても何らかの見解を示す構えだ。
2018年、OECDは仮想通貨の税制に関する国際的なコンセンサスを形成するよう各国政府に求めた。結果的に欧米諸国が仮想通貨の税務スキーム整備に着手したのに加え、日本政府が仮想通貨の税徴収を強化するなどの動きにつながっている。
OECDはガイドライン発行までにG20加盟国が仮想通貨の税制を見直すことを期待しているようだが、各国政府はどのような反応を示すのか、今後もグローバル市場での動向を見守っていきたい。
release date 2020.10.14
今年に入ってから韓国政府が仮想通貨取引の利益に20%課税することを決定するなど、各国政府はこれまで曖昧だった仮想通貨の税制を明確化している。一方、日本政府は仮想通貨取引による利益を雑所得に分類し、所得税と住民税を合わせて最高55%を課税する方針を早くから示してきた。しかしながら国内の仮想通貨コミュニティからは税率が高すぎるとの不満が噴出しており、金融庁に対して仮想通貨関連団体が税制改正を要請するなどの動きが生じている状況だ。また投資家やトレーダーの中には、有利な税制を求めて仮想通貨のキャピタルゲイン税が非課税となるマレーシアやスイスなどに移住を決める者も出てきているという。OECDが提案する国際的な仮想通貨課税枠組みが導入されれば、このような税制の不均衡も少なからず是正されていくと考えられるが、各国政府は同機関の試みをどのように評価するのか、今後も仮想通貨市場での展開に注目していきたい。
作成日
:2020.10.14
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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