作成日
:2020.10.13
2021.08.31 15:33
大手金融企業のSBIホールディングス株式会社(本社:東京都港区六本木一丁目6番1号
)【以下、SBIと称す】は、同グループのeスポーツ部門であるSBI e-Sports株式会社【以下、SBI e-Sportsと称す】の株式を対象としたSTO(セキュリティトークンオファリング)の実施を計画していることを明らかにした。今回、SBIはSBI e-Sportsの普通株式1,000株の引受人となり、BOOSTRYのibetと呼ばれるSTOプラットフォームを通じて同社の株式をトークン化することを予定しているという。BOOSTRYは野村証券および野村総合研究所の合弁会社だが、SBIもステークホルダーとしてその株式を10%保有している。BOOSTRYはブロックチェーンを利用して株式や社債などの取引を合理化し、セキュリティトークンを介した資金調達を可能にすると同時に、そのトークンの流動性を確保することを目指す。
改正金融商品取引法が施行されたことをきっかけに、SBIはSTOに注力する方針を表明している。実際にSBIはBOOSTRY以外にも、サンフランシスコを拠点とするSTOスタートアップであるSecuritizeや、エンタープライズブロックチェーン企業のR3、人気仮想通貨リップル(Ripple)を開発するリップル社、ブロックチェーン決済アプリのマネータップなどに投資を行なっている状況だ。更にSBIは主要なブロックチェーン企業とパートナーシップを結んでおり、業界での影響力を強めている。
将来的にSBIは、ゲームや映画などの知的財産や不動産をトークン化することを目論んでいるようだが、今回のSTOがどのような成果を上げるのか、今後も同グループの取り組みに注目していきたい。
release date 2020.10.13
最近、仮想通貨市場ではテレグラムがTONのプロジェクト中止を決定した例に見られるように、法的に曖昧なICO(イニシャルコインオファリング)が下火になりつつあり、新たな資金調達の手段が模索されている。日本ではSTOの他に、コインチェックがIEOを計画するなど、金融庁(Japan Financial Services Agency, JFSA)による監督の下、仮想通貨取引所が資金調達プラットフォームとしての役割を担おうとしているようだ。このような動きはグローバル市場でも観測されており、大手取引所のバイナンスなどもIEO(イニシャルエクスチェンジオファリング)プラットフォームをローンチしている。これに対して、マレーシア証券委員会がウォレットプロバイダーの規制強化と共にIEOのフレームワークの厳格化を検討するなど、各国政府は法整備を急いでいるようだが、仮想通貨市場はどのように変化していくのか、今後もその動向を見守っていきたい。
作成日
:2020.10.13
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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