作成日
:2020.09.30
2021.08.31 15:31
仮想通貨関連プロジェクトのOcean Protocolが、仮想通貨取引所のKuCoinから大量のOCEANトークンが盗難された事実を受け、それを無効化するためにハードフォークを実施したことが明らかになった。
今月27日、Ocean ProtocolはKuCoinから盗み出された2,100万通貨(860万ドル相当)のOCEANトークンの利用を阻止するために、これらの仮想通貨に新しいトークンアドレスを割り当てたという。現在、Ocean Protocolの基盤となるイーサリアム(Ethereum)のメインネット上ではOCEANトークンの残高が更新されており、盗難されたものと同額の仮想通貨が信頼できるアドレスに保管されている。しかしながら犯人のハッカーは既に約33万通貨(12万ドル相当)のOCEANトークンを現金化している可能性があるようだ。
シンガポールを拠点とするKuCoinは今月26日にハッカーの攻撃を受けた。KuCoinのCEOであるJohnny Lyu氏は同週末のライブ動画配信で、ハッカーがホットウォレットへのアクセスを得たことを伝えている。CoinGeckoによると、犯人のハッカーは主に分散型取引所(DEX)のUniswapを介して、COMPやSNX、LINKを含むERC-20トークンを売却しており、OCEANトークンに関しては価格が0.399ドルから0.365ドルまで8%低下したという。
KuCoinは保険基金を用いて損失を補填することをユーザーに約束しているが、このハッキング事件はどのような結末を迎えるのか、今後もその展開を見守っていきたい。
release date 2020.09.30
これまで仮想通貨市場では仮想通貨が盗難された際の対処として、ブロックチェーン上のトランザクションをハードフォークによって巻き戻すロールバックを実行することが有効だと考えられてきた。過去にはセキュリティ侵害で48万ドルの仮想通貨が流出したナルスなどが、同様の方法で事件を収束させることに成功している。しかしながらこのようなハードフォークは、イーサリアムとイーサリアムクラシック(Ethereum Classic)のようにコミュニティの分断を招くと同時に、ブロックチェーンの公平性を損なう可能性がある。実際にハッキング被害でコインチェックから5億2,300万XEMが不正流出したネム(NEM)は、そのリスクを懸念してロールバックを行わなかった。最近ではビットフィネックスから盗難された仮想通貨を米国政府が返還するなど、ブロックチェーン分析を始めとするロールバック以外の解決策が成果を発揮し始めているが、今後も仮想通貨市場を取り巻く環境の変化に注目していきたい。
作成日
:2020.09.30
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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