作成日
:2020.09.25
2021.08.31 15:31
ベネズエラ政府が仮想通貨マイニングを合法化したことが現地紙の報道で今月23日に明らかになった。
仮想通貨全般の規制および監督を行う政府機関、SUNACRIP(National Superintendency of Crypto Assets and Related Activities)の責任者であるJoselit Ramirez氏は、新しい法案を承認し、国内企業を対象にマイニング事業者向けライセンスの発行を開始すると発表した。ライセンスを取得した企業は、マイニング活動に関する記録を10年間保持すると同時に、記録を当局に引き渡すことが義務付けられるという。これに加え、当局はマイニングマシンの輸入および製造を規制することを決定しており、マイニングマシンのソリューション関連やデータセンター向けのライセンスも発行する方針だ。
原則的に企業は政府公認のNational Digital Mining Poolを介してマイニング活動を行うことが求められ、それに反した企業には罰則が科せられるという。このようにマイニング活動を一元化することで、ベネズエラ政府はマイニングプールで発生する収益を実質的に管理・分配する権限を得ることができるが、それが支払いの凍結や遅延などにつながるとの懸念が生じている。
現在、ベネズエラは米国が主導する経済制裁に苦しめられている。ニコラス・マドゥロ大統領は独自仮想通貨のペトロ(Petro)を発行し、この状況を打開しようと試みているようだが、どのような動きを見せるのか、今後も同国での展開に注目していきたい。
release date 2020.09.25
現在、米国は15を超える国と地域に対する経済制裁を主導しているが、中には仮想通貨を用いてそれを回避する国家も現れ始めている。特に仮想通貨マイニングは経済制裁の回避策として主要な手段となっており、2019年5月以降に北朝鮮政府がモネロのマイニング活動を促進している事実も報告された。最近ではこれに続き、イラン大統領が仮想通貨マイニングの国家戦略化を命令し、ベネズエラと同様、マイニング事業者向けのライセンススキームを導入しているようだ。このような世界情勢を背景に、P2P(ピア・ツー・ピア)の仮想通貨取引プラットフォームであるPaxfulがベネズエラ向けのサービス終了を発表するなど、経済制裁対象国の市場から仮想通貨関連企業が撤退し始めている。これら国家は仮想通貨に活路を見出しているようだが、業界ではコンプライアンス強化の必要性が叫ばれているだけに、今後、更に厳しい状況に直面する可能性があると言えるだろう。
作成日
:2020.09.25
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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