作成日
:2020.09.16
2021.08.31 15:31
P2P(ピア・ツー・ピア)の仮想通貨取引プラットフォームを運営するPaxfulは、ベネズエラ向けのサービスを終了することを発表した。
今回、Paxfulは米国が課す経済制裁に同調する形でベネズエラ向けのサービス終了を決定したという。これに伴って、Paxfulはベネズエラ国内のユーザーを対象に出金手数料を30日間無料にすることを伝え、顧客資産の返還を促しているようだ。この決定に関してPaxfulは、世界中の40億人に向けて金融包摂を拡大することが同社の目的であるものの、規制上の懸念からベネズエラから撤退せざるを得ない状況になったと説明している。
今年6月、Paxfulは米国外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control)の指令に準拠し、ベネズエラ国内の銀行を経由する取引をサポートしないことを発表した。当時、ベネズエラ国内でも厳格なKYC(顧客確認)プロセスをクリアした個人はPaxfulを利用することが可能だったものの、同社はリスクを回避するためにそれも禁止している。現在、Paxful以外にもLocalBitcoinsやバイナンス、KuCoinなどがベネズエラ市場から手を引いて同様の措置を講じているという。
一方、ベネズエラ政府はコインベースへのアクセス遮断に加え、国際通貨と現地通貨の両替に利用可能な仮想通貨取引プラットフォームへの接続をブロックしている。ニコラス・マドゥロ大統領は国家主導の独自仮想通貨であるペトロ(Petro)の普及に尽力しているようだが、ベネズエラの仮想通貨市場はどのように偏移していくのか、今後も同国での動きを見守っていきたい。
release date 2020.09.16
PaxfulはP2Pの仮想通貨取引プラットフォームを中核にユニークなサービスを展開しており、仮想通貨市場の拡大に大きく貢献している。特に、Paxfulはビットコインによる金取引サービスを開始するなど、後進国市場を主なターゲットとした事業に力を入れているようだ。実際にPaxfulのCEOであるRay Youssef氏は、多くの仮想通貨関連企業が欧米や日本のような先進国市場に注目していることに触れ、同社は戦略的に他社がリーチできていない南米やアフリカ、東南アジア地域に事業展開を行うと言及している。最近ではこの強みを活かしてPaxfulはバイナンスと提携し、エキゾチック通貨を中心とした10種類の法定通貨による決済を可能にした。今回、Paxfulはベネズエラ市場からの撤退を決定したが、次にどのような動きを見せるのか、今後も同社の取り組みに注目していきたい。
作成日
:2020.09.16
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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