作成日
:2020.04.09
2021.08.31 15:33
P2P(ピア・トゥー・ピア)の仮想通貨取引プラットフォームを運営するPaxfulは、ビットコイン(Bitcoin)を利用した金取引サービスを開始することを発表した。
PaxfulのCEOであるRay Youssef氏によると、元々、ユーザーはP2Pシステムを利用して個人間での金取引を行なっていたが、今回、同社はこのプロセスを形式化することで正式なサービスとしてのローンチを実現したという。この新しい金取引サービスでは購入者が価格や受け渡し方法などの条件を交渉し、合意した金額のビットコインをPaxfulのエスクローシステムに送金することでトランザクションが開始される。購入者が支払いから21日以内に現物を受け取ったことが確認できた場合、預託されているビットコインが解放されるが、そうでなければPaxfulによる仲裁でのトラブル解決が図られるようだ。最近、Paxfulはコンプライアンスツールを開発するChainalysisのソリューションを導入するなどデューデリジェンスを強化しており、50ドルを超える金取引を行うユーザーに対して顧客確認(KYC)情報の提出を義務化している。
このようなユニークなサービスは他社がリーチできていない市場に波及すると同時に、Paxfulの戦略的位置付けをより明確なものにすると考えられる。これに関してYoussef氏は多くの企業が欧米の先進国市場に注力している事実に触れ、ナイジェリアやマレーシア、ガーナ、ベネズエラなどの新興国市場が軽視されていることを指摘した。また、Youssef氏は新興国市場における新型コロナウイルスやエボラウイルスの世界的なパンデミックの影響に言及し、これらの地域では経済活動が停止されることはなく、特にアフリカ市場での個人取引需要にも長期的な変化はないと予想している。
一方、欧州ではイタリアのBanca Sellaがビットコインの取引サービスを開始するなど、ロックダウン期間中の仮想通貨需要の高まりに対応する動きが活発になってきている様子がうかがえる。実際にPaxfulもこの恩恵を全面的に受けており、3月の登録者数が27%増加しているが、今回の金取引サービスのローンチはこの流れを加速させる好材料となるのか、今後も同社の取り組みを見守っていきたい。
release date 2020.04.09
先日、日本政府が緊急事態宣言に伴う外出自粛を要請したが、米国やイタリア、フランスを始めとする欧米諸国は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために都市部のロックダウンを継続している。米国ではこのロックダウンの影響が様々な企業に波及しており、例えばNYSEはトレーディングフロアを一時閉鎖することを余儀なくされているという。米国株式市場ではこの状況が長期化するリスクを懸念し、主要なインデックスであるS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)500がここ2カ月程度でピーク時より20%から30%下落するなど、強いリスクオフの流れが生じている模様だ。これを受けてゴールドマンサックス証券は1トロイオンスあたり1,800ドル程度まで金の上昇余地があるとの見解を示しており、投資家の注目を集めているが、このコロナショックがPaxfulを含む金取引サービスにとってはまたとない好機となりそうだ。
作成日
:2020.04.09
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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