作成日
:2020.03.24
2021.08.31 15:28
イタリアを拠点にする銀行のBanca Sellaは、同行の投資プラットフォームであるHypeを介し、ビットコイン(Bitcoin)の取引サービスを開始することを発表した。
現在、世界各国で新型コロナウイルスが猛威を振るっており、その影響を受けたビットコイン価格が過去最大級の下げ幅を記録するなど、仮想通貨市場が未曾有の大惨事に見舞われている。しかしながらBanca Sellaは、これが国内で仮想通貨需要が高まる好機だと捉え、この取引サービスの開始を決定したという。既にBanca SellaはHype上でデリバティブ商品やCFDの取引サービスを提供しており、約120万人のユーザーベースを抱えているようだ。
HypeのゼネラルマネージャーであるAntonio Valitutti氏は、この決定に関して仮想通貨市場が継続的に人々の興味を引いている事実に触れ、特に若年層を中心に手軽に利用できる仮想通貨取引プラットフォームに対する需要が拡大していると説明した。しかしながら、仮想通貨取引には高いリスクが伴うため、Hypeは顧客保護の観点から、1日500ユーロ(約536ドル)と年間2,500ユーロ(約2,680ドル)の購入制限を設けており、プレミアム会員に限ってその額を1日4,990ユーロ(約5,350ドル)、年間5万ユーロ(約53,611ドル)に引き上げることを許可しているという。それに加え、Hypeは基本的なサービスを無料とし、取引毎のトランザクションに1%の手数料を課すことを公表している。
Hypeは複数の銀行口座をサポートしており、ユーザーはそこから仮想通貨を直接購入することが可能になっている。近年、欧州ではデューカスコピーがデューカスコインを活用した証拠金取引を開始するなど、銀行主導の仮想通貨関連サービスが誕生しているが、Banca Sellaの試みは成功するのか、今後も同行の取り組みを見守っていきたい。
release date 2020.03.24
今月、イタリアで新型コロナウイルスの症例が確認されて以降、国内での感染者数が爆発的に増加しており、死亡者数に至っては現時点で5,000人に達したことが明らかになっている。この惨事を食い止めるためにイタリア政府は、北部地域のロンバルディア州などで外出禁止命令を出したものの、国内での感染例は増え続けるばかりだ。隣国のスペインやフランス、ドイツなども同様の事態に陥っているが、未だ打開策は見つかっておらず、結果的に経済不安や失業率の悪化などがユーロ安を誘発しているという。現在、対米ドルのユーロ価格は、1通貨あたり1.07ドル付近まで低下し、EU(欧州連合)領内では仮想通貨取引の需要が高まりつつある。元々、イタリアではナポリ市長が独自仮想通貨の発行を試みるなど、ユーロを国家の法定通貨として利用することに反対する意見も根強く残っているだけに、これを機に仮想通貨が急速に普及する可能性があると言えるだろう。
作成日
:2020.03.24
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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