作成日
:2020.09.11
2021.08.31 15:31
ベネズエラ政府は海外の仮想通貨関連サービスへの取り締まりを強化しており、米国の大手仮想通貨取引所であるCoinbase, Inc.【以下、コインベースと称す】および送金プラットフォームのMercaDolarへのアクセスを遮断した。
今回、政府当局はこの2つのプラットフォームへのアクセスを遮断した理由を明確にしていないが、ベネズエラにおけるインターネット検閲回避を支援するVenezuela Inteligenteによると、これがニコラス・マドゥロ大統領の指示によるものだという。また、Venezuela InteligenteはこれらプラットフォームのIPアドレスが、DNSブラックリストに含まれていることから、インターネットサービスプロバイダ(Internet Service Provider, ISP)も関与していると説明した。
これまでベネズエラ政府は、DNSブラックリストを使用して多くの仮想通貨取引所へのアクセスを遮断してきた。特にベネズエラ政府は、国際通貨と現地通貨の両替に利用可能なプラットフォームを標的にしているようだ。最近、ベネズエラ政府は2つのVPN(Virtual Private Network)サービスもブロックするよう試みたが、人々のアクセスを妨げることはできなかったという。
マドゥロ大統領は独自仮想通貨のペトロ(Petro)を発行して以来、同仮想通貨を国の正式な通貨として普及させることに積極的だ。ベネズエラはペトロでの徴税を義務化するために、ボリバル市長を含む地方自治体代表に合意を求めているようだが、マドゥロ大統領の目論見は成功するのか、今後も同国での展開を見守っていきたい。
release date 2020.09.11
経済制裁対象国は国際的な金融システムからの締め出しを受けているが、仮想通貨を利用することで活路を見出そうとしている。2018年に米国の圧力でSWIFTによる国際銀行間取引を禁止されたイランでも、金やビットコイン(Bitcoin)の保有量を高めることで米ドルなどの国際通貨への依存から脱却すべきだとの議論が高まっているという。同じく経済制裁の標的となっている北朝鮮も仮想通貨を金融制裁の回避策として利用し、マネーロンダリングなどの方法を用いて米国市場へのアクセスを確立しているようだ。これに対してベネズエラは、石油を始めとする地下資源に価値を裏付けられた独自仮想通貨のペトロを発行することで、状況の打開を図っている。今の所、仮想通貨が大々的に国際取引に利用されることはないが、仮想通貨市場の拡大に伴い、経済制裁対象国を取り巻く環境はどのように変化していくのか、今後もその動向に注目していきたい。
作成日
:2020.09.11
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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