作成日
:2020.09.11
2021.08.31 15:31
不安定な情勢が続くベラルーシでは、反体制派の団体がビットコイン(Bitcoin)を利用して政府の圧力を回避しながら、大統領選挙での不正に対する抗議活動を継続している。
先月、ベラルーシでは現職のアレクサンドル・ルカシェンコ大統領が再選されたが、この結果が合法的ではないことから、工場でのストライキやデモなどが発生しているという。これに対して政府はインターネットの閉鎖や抗議活動に関与した者を大量逮捕し、更には隣国ロシアの脅威を利用することで抗議団体に圧力をかけているようだ。抗議活動を行うに伴い多数の活動家が政治的な理由で職を失っているが、ピンスク市役所の従業員であるMaria Koltsyna氏は非営利基金のBYSOLに助けを求め、ビットコインによる資金援助を得ることに成功した。
BYSOLはここ1か月間で、主にFacebook(フェイスブック)上での寄付を通じて200万ドル以上の資金を集めており、PayPal(ペイパル)やレボリュート(Revolut)、仮想通貨ウォレットなどを介して資金を分配している。BYSOLが資金援助にビットコインを採用した理由に関し、同団体の創設者でDeepdeeのCEOであるYaroslav Likhachevskiy氏は、ビットコインは政府当局が管理できない唯一の手段であるからだと語った。また、Likhachevskiy氏によると、政府当局はBYSOLに関連する人物や団体の銀行口座を厳しく管理しており、抗議活動に必要な資金が凍結される可能性があるという。
BYSOLは抗議活動を行って解雇された、または、抗議活動に参加するために仕事を辞めた人々に1,500ドル相当のビットコインを配布している。BYSOLはウクライナのスタートアップ企業であるTrustee Walletと提携しており、同社の仮想通貨ウォレットとそれに連動するデビットカードを介してビットコインの現金化を可能にしているようだ。Trustee WalletのViktor Manin氏は、同社の仮想通貨ウォレットがP2P(ピア・ツー・ピア)のシステムを導入している事実に触れ、中央集権型の銀行サービスと比較して政府当局が資金凍結することは難しいと言及した。
PaxfulのAnton Kozlovsky氏は、政治危機が拡大するにつれてベラルーシの人々がリスクヘッジのために米ドルを購入し始めていることを指摘した。2018年にベラルーシでは仮想通貨取引が合法化されたものの、国内における仮想通貨市場の規模はそれほど大きくなく、仮想通貨決済の手段も確立されていない。しかしながら、人々の仮想通貨に対する意識は着実に変化しており、過去2週間で既に50人以上がBYSOLからの支援を受けている。ベラルーシの仮想通貨コミュニティはどのように発展していくのか、今後も同国での動きに注目していきたい。
release date 2020.09.11
東欧の小国であるベラルーシは、ソビエト連邦から独立して経済的な発展を遂げており、近年ではITや金融分野が著しい成長を見せている。特に金融市場ではB2PrimeがFXプライムブローカーライセンスを取得するなど、機関投資家向けサービスが本格的に立ち上がり始めているようだ。また、最近ではRoboForexグループ傘下のベラルーシ法人であるRoboMarkets LLCがR Traderをリリースし、投資家が10,000種類を超える金融商品へアクセスすることが可能になったという。仮想通貨関連企業としては、セキュリティトークンプラットフォームのCurrency.comがジブラルタルでDLTライセンスを取得するなど、グローバル市場に向けた新しい金融サービスが誕生している。現在、ベラルーシでは政治的な混乱が続いているが、今後も同国における金融市場の動向を見守っていきたい。
作成日
:2020.09.11
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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