作成日
:2020.08.14
2021.08.31 15:32
ボリバル市議会が国税調和協定(National Tax Harmonization Agreement)に署名したことから、ベネズエラでは同国の独自仮想通貨であるペトロ(Petro)での徴税が義務化される可能性があることが明らかになった。
ベネズエラの副大統領であるDelcy Rodríguez氏はこのキャンペーンを主導しており、企業が仮想通貨で税金の支払うための新しい情報交換および監視システムの導入も促進しているという。Rodríguez氏はこれが手続きの簡素化であると同時に、行政活動の効率化および生産や産業などの経済活動を刺激する策として期待されていると説明した。これに対して地方自治体の代表335名の内、既に305名が統一社会党(United Socialist Party of Venezuela)の新しい税制に賛成している。
過去数年間、ベネズエラはハイパーインフレの影響で経済的に困窮しているが、その解決策としてニコラス・マドゥロ大統領は、石油などの天然資源を裏付けとするペトロを導入することを決定した。それ以降、ベネズエラは国際線フライト燃料のペトロでの購入を義務化するなど、積極的に同仮想通貨の利用を促進している。また、最近ではベネズエラ国内のガソリンスタンドでもペトロでの決済が採用されており、その割合は支払い全体における15%を占めているという。
現在、ベネズエラは米国およびその他主要国から厳しい経済制裁を受けている。米当局は反社会的な犯罪に関与したとして、ベネズエラの政府関係者に500万ドルの賞金をかけるなど、同国への締め付けを強めているが、これがどのような結果を生むのか、今後もその展開を見守っていきたい。
release date 2020.08.14
現在、米国ではオハイオ州がビットコインでの納税受付を開始しており、企業や事業者を対象とした23種類の税務プロセスを飛躍的に効率化させることに成功している。また、税金関連のソリューションを展開するRefundoと提携したビットペイがビットコインによる税金の還付に対応するなど、幅広いユーザーに訴求するソリューションも登場しているようだ。その点、ベネズエラ政府の試みも至って合理的なものだと考えられるが、当局の狙いはそれよりも法定通貨のボリバルや、ペトロ以外の仮想通貨を排除する所にあると言えるだろう。実際にベネズエラ政府は仮想通貨取引に対して、16%の付加価値税に上乗せして5%から25%の追加課税を行なっているという。今回、多くの地方自治体がペトロでの徴税に合意したことでこの流れは更に顕著なものになると考えられるが、ベネズエラ国民はどのような反応を示すのか、今後も同国での動きを見守っていきたい。
作成日
:2020.08.14
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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