作成日
:2019.05.02
2021.08.31 15:26
ブロックチェーンベースの決済プロバイダーであるBitPay【以下、ビットペイと称す】は、税金関連のソリューションを展開するRefundoと提携し、ビットコイン(Bitcoin)による米国連邦税および州税の還付に対応することを発表した。
ビットコインによる税金の還付を実現するために、Refundoは、CoinRTと呼ばれる新しいサービスをリリースしており、ユーザーが、ビットペイの口座を通じて、一部または全ての還付金を効率的に受け取ることを可能にするという。これに関して、ビットペイのビジネスソリューション責任者であるRolf Haag氏は、Refundoとの提携が、同社のサービスにおける低い手数料と迅速なトランザクションを強調する結果になったと述べている。
先月30日の発表によると、ビットペイの新規口座開設を望むユーザーは、KYC(顧客確認)が義務付けられ、ビットコインに対応したウォレットアドレスを提供する必要があるようだ。その上でユーザーが、税金の還付を受けるためのルーティングナンバーを提出すれば、米内国歳入庁(Internal Revenue Sercices, IRS)または州税務局からの還付をビットペイの口座で受けられるようになる流れだ。
この新しい税金還付のソリューションに関して、RefundoのCEOであるRoger Chinchilla氏は、次のように述べた。
Refundoは、納税者がより安全で迅速に税金の還付を受けるために複数のオプションを提供しています。その選択肢にビットコインが追加されたことは、従来の銀行口座を持たず、高い小切手の換金手数料を支払い、定期的に国際送金を行うユーザーにとって有用となるでしょう。CoinRTを使えば、一定の手数料でビットコインを簡単に手にすることができます。
Roger Chinchilla, CEO of Refundo - BusinessWireより引用
米国の多くの企業は、仮想通貨の税金に関連するソリューションを提供しているが、そのほとんどが、納税に関するもののように見受けられる。大手仮想通貨取引所のコインベースは、TurboTaxと連携し、個人および事業者向けに仮想通貨取引に関する税務サービスを立ち上げており、会計事務所のErnst & Youngも、同様の会計および税計算ツールの提供を開始した。その点、税金の還付に関わるソリューションは、業界でもユニークな存在だと言えるため、今後もビットペイとRefundoの取り組みには注目していきたい。
release date 2019.05.02
これまでも米国では、政府による仮想通貨の利用が積極的に推し進められている。今回のような税金の還付だけではなく、米国で初めて仮想通貨を受け入れた自治体として知られるオハイオ州では、ビットコインによる納税を、州政府が様々な仮想通貨ウォレットサービスと提携することによって実現している。米国内には、このような仮想通貨の活用を行っていない州もあるが、米国証券取引委員会(US Securities and Exchange Commission)による法規制の整備が進むにつれ、仮想通貨は正当な金融資産としての認識を高めつつあるようだ。世界的に見ても、スイスのクリプトバレーと呼ばれるツークやキアッソも、同様の動きを見せており、その影響は、各地域へも少なからず波及している模様だ。アジアの仮想通貨先進国と呼ばれる日本では、コインチェックやZaifのハッキング事件以来、政府は投資家保護や仮想通貨市場の管理に積極的に乗り出しているものの、未だに仮想通貨による税金の支払いや還付などといった実用面では認められておらず、仮想通貨の法的定義を審議している段階だと言えよう。納税スキームの効率化を図り、国税庁は、確定申告書作成ツールなどを提供し、クレジットカードでの納付も受け付けているが、そのオプションのひとつとして、将来的に仮想通貨が採用されることに期待したい。
作成日
:2019.05.02
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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