作成日
:2020.07.15
2021.08.31 15:32
サウジアラビアでのサミット開催に先駆け、G20諸国が仮想通貨を受け入れるためのフレームワーク構築を検討していることが明らかになった。
報道によると、G20メンバーの19カ国とEU(欧州連合)の代表者は、今年10月にワシントンでの会合に参加し、仮想通貨を決済手段として利用する際に懸念されるマネーロンダリングなどの問題について議論する予定だという。仮想通貨の受け入れは国際フォーラムで何年にもわたって取り扱われている議題であり、昨年開催されたG20大阪サミットでも議論された。当時、G20では仮想通貨が既存の金融システムの脅威になることはないと結論づけられたものの、昨年10月に同機関はステーブルコインの影響をまとめたレポートをリリースし、そのリスクについて言及している。
このG20の動きは、中国のデジタル人民元やFacebook(フェイスブック)のリブラ(Libra)などのステーブルコイン開発が活発になってきていることが背景にあるようだ。特にFacebookは全世界に数十億人規模のユーザーベースを抱えており、民間企業として巨大な金融エコシステムを構築する可能性を秘めているため、G20諸国も警戒心を露わにしているという。一方、中国でも2014年に中国人民銀行(People's Bank of China)が中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】開発に着手して以来、導入に向けた試みが加速している状況だ。
これまで各国の中央銀行や政府はビットコイン(Bitcoin)などの仮想通貨に対して敵対的な姿勢を示していたが、分散型ネットワークを含めて新しい技術の取り込みを真剣に考える段階にきていると言えるだろう。
release date 2020.07.15
仮想通貨市場では他国に先駆けてCBDC開発に乗り出した中国に注目が集まっているが、その他、先進国諸国も同国政府の取り組みを追従する動きを見せている。韓国では韓国銀行がCBDCのパイロットプログラムを開始しただけでなく、専門家委員会を設置してその研究開発を促進しているようだ。また、欧州でもフランス銀行がデジタルユーロの試験運用に成功するなど、EU経済圏でのCBDCの導入が現実味を帯びてきているという。G20以外ではカンボジアがCBDC発行を計画していることを発表し、実際にProject Bakongと呼ばれるプロジェクトのホワイトペーパーをリリースしている状況だ。将来的にG20が仮想通貨を受け入れる方針を正式に固めれば、グローバル経済の中で各国のCBDCが利用できるようになる可能性も高まってくると言えるだろう。
作成日
:2020.07.15
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
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