作成日
:2020.07.15
2022.10.18 11:24
フランス・パリを拠点とする投資銀行であるBNPパリバ(本社:16, bd des Italiens-75009 Paris
)傘下のBNPパリバ・アセットマネジメント【以下、BNPP AMと称す】は、後援するグリニッチ・アソシエイツ(Greenwich Associates)が実施したESG(環境・社会・ガバナンス)調査において、新型コロナウイルス(COVID-19)危機の中、社会的課題の解決を考慮した投資の必要性が高まっていることを明らかにした。同調査によると、回答者の内81%が既にESGを考慮した投資を行っているほか、16%はESG投資を行う計画であり、主な理由として80%が社会もしくは環境への好影響を、58%がリスクの低減、47%が株主ニーズへの対応を挙げているという。また回答者の4分の1ほどは、新型コロナウイルスのパンデミックを受けてESGの重要性が高まっていると見ている。中でも回答者の内70%が社会への配慮を非常に重要視しており、結果として、その重要性は新型コロナウイルス危機前から20%上昇し、環境やガバナンス要素との差が大きく縮小するなど、社会的課題に取り組むべく大きなパラダイムシフトが生じている模様だ。
同調査の回答者の内79%は、社会的課題の解決を考慮した投資が、運用パフォーマンスとリスク管理において長期的に好影響をもたらすと見ている。また社会要素を考慮した投資プロセスにおいて、労働基準が最も重要な視点であり、主にグローバルイベントやニュース・メディアなどの影響を受けるという。更に社会要素を考慮した投資における障壁として、回答者の内42%が標準的な評価指標の欠如を、31%が社会的責任投資の不明瞭さを挙げている。そのため、47%が既に独自指標を活用しているほか、26%は新たに指標を導入する計画であるとのことだ。
調査結果の公表に際し、BNPP AMのCEOである Frédéric Janbon氏は以下のようにコメントしている。
新型コロナウイルス危機において、長期的な価値創造に好影響を与えたり、リスク低減に寄与する社会要因を重視すべく、社会要素に対する投資家の認識に明らかな変化が見受けられます。また企業が長期的なサステナブル戦略を立案する際、従業員の待遇や不平等といった社会問題への取り組みに着目しております。我が社はESGを重視する企業をサポートすることで、リスクを低減すると共に、サステナブルな投資リターンをお客様に還元できるでしょう。
Frédéric Janbon, CEO of BNPP AM - BNP Paribas Asset Managementより引用
尚、足元のESG関連動向に目を転じると、HKEXがサステナブル関連証券取引所を開設する計画を明らかにしたほか、リフィニティブがグローバルサステナブル戦略を発表した。そして今回、BNPP AMが公表した調査結果において、多くの投資家がESGを重視した投資に注力する意向を示す中、より健全でサステナブルな経済・金融市場が形成されることを期待したい。
release date 2020.07.15
BNPP AMは36か国に3,000名超のスタッフを擁し、5,530億ユーロの運用資産を誇るグローバルアセットマネジメント会社だ。今回の調査においては、同社がグローバルサステナブル戦略内で掲げる平等や包括的な成長といったテーマを反映し、広範な市場参加者がESGを重視した投資に注力する方針を示していることが明らかになった。また同社の親会社であるBNPパリバは、CFI AwardsにおいてMost ESG Responsible International Bank Global 2019を受賞するなど、ESG分野への取り組みを積極的に推進している金融機関である。足元ではESG投資の一種として、社会に与える影響度を重視したインパクト投資が拡大しているほか、ESMAがESGディスクロージャー要件関連のノーアクションレターを発行するなど、官民が社会要素を考慮した投資に関する取り組みを積極化している状況だ。BNPP AMが社会的課題の解決と運用パフォーマンス向上の両立を目指し、如何なるソリューションを提供するか注目したい。
作成日
:2020.07.15
最終更新
:2022.10.18
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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