作成日
:2020.07.10
2021.08.31 15:32
世界的に仮想通貨がトレンドとなった2017年から3年が経過した現在、ブラジルでは初の仮想通貨ブームが到来しており、特にステーブルコインの需要が急増しているようだ。
バイナンスのブラジル代表であるMayra Siqueira氏によると、2020年1月以降、国内のステーブルコインのトレーダー数が4倍にまで増加しており、同取引所のバイナンスUSD(Binance USD)とテザー(Tether)の取引量が上昇しているという。また、別の仮想通貨取引所であるNashのFabio Canesin氏は、過去30日間の分散型取引所(DEX)におけるテザーの取引量が約1,200万ドルであったと述べ、ブラジル国内から約8,000人ものユーザーが同ステーブルコインを買い求めていることを指摘した。また、Canesin氏はブラジル国内のユーザーが既存の通貨システム以外で資産を保有する方法を模索しており、現金を米ドルベースのステーブルコインに換金する傾向があると言及している。
今年6月、ステーブルコイン発行が可能なブロックチェーンプラットフォームのCeloでは、ブラジルレアルを裏付けとするステーブルコインプロジェクトが少なくとも5つ提案された。これに加え、ブラジルの取引所であるBolsa CriptoのJohn Willock氏も、ERC-20トークンを基礎に同様のステーブルコイン開発を計画しており、今年中のローンチを目指しているという。Willock氏はステーブルコインが仮想通貨の流通を促進する役割を持つと説明し、Bolsa Criptoがダイ(Dai)やUSDコイン(USD Coin)などの仮想通貨をサポートする可能性があることをほのめかした。
ブラジルは1970年代と1980年代に深刻なハイパーインフレに見舞われたが、アルゼンチンなどの近隣諸国とは異なり、経済の米ドルに対する依存度がそれほど高くはない。また、ブラジル国内の事業者は、仮想通貨決済による手数料や資産価値の変動リスクを好ましく思っておらず、法定通貨に固執している側面があるようだ。それでもWillock氏はブラジル市場が最終的には様々な用途で利用できる米ドル、またはブラジルレアル建てのステーブルコインを選択する可能性があると考えているようだが、同国での仮想通貨ブームは継続するのか、今後もその動向を見守っていきたい。
release date 2020.07.10
南米では仮想通貨市場が拡大しており、バイナンスが仮想通貨取引サービスのLatamexをローンチするなど、新規ユーザーの需要を狙う外国資本の大手取引所が参入してきている。その中でも2億人以上の人口規模を誇るブラジルは、次なるフロンティアとして注目され、仮想通貨関連企業の動きが活発になってきている状況だ。最近では、独自ブロックチェーンを活用した国際送金ネットワークを構築するリップル社がブラジルに新オフィスを開設し、現地でのパートナーシップ締結や事業展開を積極的に行なっているという。国内資本では、ブラジル最大の投資会社であるXP Investimentosが仮想通貨取引を開始しており、同国の仮想通貨市場を牽引している。近年、ブラジルではインフレの進行と共に国内経済の失速が懸念されているが、仮想通貨市場の拡大がどのような影響を与えるのか、今後も国内での展開に注目していきたい。
作成日
:2020.07.10
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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