作成日
:2019.12.16
2021.08.31 15:29
大手仮想通貨取引所のBinance【以下、バイナンスと称す】は、中南米地域に事業を拡大するために、Binance Fiat Gateway下で法定通貨と仮想通貨の取引サービスを提供するLatamexを立ち上げることを発表した。
Latamexのローンチはバイナンスがラテンアメリカ最大の仮想通貨決済ネットワークと評されるSettle Networkとパートナーシップを締結したことで実現し、この事実はウルグアイのモンテビデオで開催された仮想通貨イベントLaBitConfで公表された。これにより、ブラジルおよびアルゼンチンのバイナンスユーザーは現地通貨のアルゼンチンペソとブラジルレアルを用いて、直接的に仮想通貨を取引できるようになったという。
中南米地域での事業展開に関して、バイナンスのCEOであるChangpeng Zhao氏は次のようにコメントしている。
ラテンアメリカでは金融サービスとして仮想通貨に対する強いニーズが存在します。ラテンアメリカにおける人口の約50%の人々が銀行口座を有していないため、Latamexがその代替となる可能性があるのです。ラテンアメリカで仮想通貨市場へのアクセスを拡大するために、主要なパートナーであるSettle Networkとの関係構築を継続しており、将来的に更に多くの法定通貨をサポートしたいと思っています。仮想通貨業界は未だ初期段階にあり、世界では法定通貨の利用が主になっていますが、Binance Fiat Gatewayはエコシステムを拡大するだけでなく、雇用を増やし、仮想通貨の利用を促進するでしょう。
Changpeng Zhao, CEO of Binance - Binance Blogより引用
これでバイナンスはラテンアメリカでのプレゼンスを強化する結果に至ったが、先日、バイナンスはPaxfulと提携し、将来的に167種類の法定通貨の取扱いを見込んでいる。更に先月、バイナンスは決済サービスのPaparaやAdvcash、ステーブルコインを発行するPaxosとパートナーシップを締結しており、ユーロやロシアルーブル、ウクライナグリブナ、カザフスタンテンゲなどの法定通貨による入出金や決済に対応することを発表した。同じく大手取引所のHuobiもアルゼンチンで仮想通貨取引サービスを開始しているが、これに対してバイナンスはどのような戦略を取るのか、今後も同地域での展開を見守っていきたい。
release date 2019.12.16
現在、世界の約20億人が金融サービスにアクセスできない環境に置かれており、それが国家や国際団体の貧困削減に向けた対策を妨げる要因になっているという。しかしながら、近年、スマートフォンや仮想通貨などのテクノロジーが発展したことで、その問題が少しずつ解決に動き始めている様子がうかがえる。特にメキシコのフィンテック市場は中南米地域の中でも小さく、ブラジルやチリ、ペルーなどに後れをとっていたものの、ここ数年でモバイルバンキングのユーザー数が爆発的に増加しているようだ。そこには米国のフィンテックベンチャーであるGlobalOneが現地金融機関のInvesta BankやBankaool と提携した背景もあり、将来的にこれまで銀行サービスにアクセスできなかった約半数の人々が救われる見通しだ。今年初めに、大手取引所のコインベースは南米および東南アジアへ進出することを表明しているが、世界の仮想通貨市場はどのように動くのか、今後もその動向に注目していきたい。
作成日
:2019.12.16
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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