作成日
:2019.06.11
2021.08.31 15:26
仮想通貨関連テクノロジーの開発を進めるRipple, Inc.【以下、リップル社と称す】が、南米市場の顧客を獲得するために、ブラジルに新しいオフィスを開設したことが明らかになった。
このブラジルの新オフィス開設には、同国の銀行や支払い業者とのネットワークを構築し、ブロックチェーンベースの送受金サービスを利用する企業数を拡大する狙いもあるようだ。既にリップル社は、200以上の銀行や送金業者を抱える国際送金ソリューション、リップルネットをBeeTech Global、Santander Brasil、Banco Rendimentoといった現地企業3社に導入しているという。また、同社はカントリーマネージャーとして、保証サービスを提供するThe Warranty Groupの子会社から元CEOのAntonio Sacco氏を採用しており、銀行間取引やプロダクトマネジメント、地域戦略など、同氏の幅広い経験を事業推進に役立てる見通しだ。
南米諸国の中でもブラジルは、仮想通貨市場のトレンドに敏感に反応し、現在では規制と開発の両方で周辺国をリードする存在となっている。最近ではブラジル最大の独立系ブローカーであるGroup XPの親会社が仮想通貨取引所の立ち上げを計画するなど、同国の仮想通貨市場は盛り上がりを見せているが、その過熱ぶりは国内における仮想通貨取引所の口座開設件数が証券口座開設件数を上回った事実からもうかがえる。
リップル社はブロックチェーンを利用し、より迅速で低コストな国際送金手段の開発を試みており、Western UnionやMoneygramといった大手企業とも提携している。更に先月、リップル社はRiaとの提携を発表しており、世界で2番目の規模を誇る送金サービス企業も同社ネットワークに参加したことで、リップルネットは急速な拡大を見せていることがうかがえる。リップル社が提供する仮想通貨のリップル(Ripple)は、他の仮想通貨プロジェクトと同列で比較されることがあるが、その開発目的はあくまでも同社製品の普及だと言えるだろう。今の所、リップル社はムンバイにオフィスを設けている他、サンフランシスコ、ニューヨーク、ロンドン、サンパウロ、シンガポール、シドニーにも展開しており、グローバル事業の拡大を突き進めているだけに、今後の動向も期待して見守っていきたい。
release date 2019.06.11
中南米ではベネズエラやアルゼンチンでのインフレーションへの懸念の高まりを背景に、ビットコイン(Bitcoin)をはじめとする仮想通貨が法定通貨の回避先として利用されており、民間への普及が進んでいるという。しかしながら、各国の中央政府による規制の整備や経済への統合が遅れていることから、先進諸国と比較すると投資環境に課題があるとされているようだ。加えて、政府関係者の仮想通貨に対する関心もそれほど高いわけではなく、先日、テレビ出演したブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領に至っては、ビットコインがどのようなものなのか理解していないと発言している。それでも、国民の間では投機的な目的に留まらず、国際送金の手段として仮想通貨の利用が加速しており、政府と民間の認識の間には大きな隔たりがあることが見受けられる。リップル社の進出でブラジルにおいても規制の必要性を唱える議論が活発化する可能性があるが、コミュニティや政府はどのような反応を示すのか、今後の動向にも注視していきたい。
作成日
:2019.06.11
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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