作成日
:2020.07.06
2021.08.31 15:32
中東最大のデリバティブ商品取引所を運営するドバイ金商品取引所(本社:Floor 37, Gold Tower, Cluster I, Jumeirah Lake Towers, Dubai, UAE
)【以下、DGCXと称す】は7月2日、新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックを受けて市場のボラティリティが大きく高まる中、顧客のFX取引需要が拡大していることを明らかにした。DGCXにおける6月のG6(日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア)の通貨取引量は前年同月比265.56%増となったほか、年初来で見ると前年同期比456.69%増となり、それぞれ過去最高を記録したという。特に、英ポンドと日本円が活発に取引され、平均日次取引高(ADV)はそれぞれ前年同期比307.58%増、1,010.45%増と大幅な伸びを示した。
DGCXは7月6日にユーロ/米ドルと英ポンド/米ドル、オーストラリアドル/米ドルという3通貨ペアのFX先物ポジションのローリング商品をリリースする予定である。それに先立ち、同取引所では強い顧客需要が確認されている状況だ。同商品は特に市場のボラティリティが高まる局面において、効率的なリスクエクスポージャーのヘッジに寄与するという。また、DGCXは7月下旬にインドルピー/米ドルに関しても同様の商品をリリースし、更なる商品ラインナップの拡充を図る意向だ。これにより、市場参加者は短期的なヘッジングやアービトラージへの活用が可能になるほか、同社が提供するインドルピー建て商品を通じ、オフショア市場の上場商品として世界最大のリクイディティプールへアクセスできるという。
顧客取引の大幅増に際し、DGCXのCEOであるLes Male氏は以下のようにコメントしている。
足元の数か月において、中東・北アフリカ(Middle East and North Africa)【以下、MENAと称す】地域のFX市場は強い顧客需要が示され、勢いが増している状況です。特に、個人投資家及び機関投資家のリージョナルハブとして機能すると共に、強固な規制フレームワークを構築するアラブ首長国連邦(UAE)においては、取引拡大が顕著なものとなっております。現在は新型コロナウイルスのパンデミックがFX取引量の増減に影響を与える大きな要因となっていますが、今後もブレグジット交渉や米中貿易摩擦など、地政学リスクになり得るビッグイベントを控えております。極東と欧州の中間に位置し、地理的な優位性を有する我が社は独自のグローバルFXハブを構築しており、MENA地域での金融市場の発展をリードする役割を担っております。我々が新商品をリリースすることでUAEのFXハブ機能を向上させると共に、グローバルFX市場への影響度を高めたいと考えております。
Les Male, CEO of DGCX - DGCXより引用
DGCXは商品ラインナップの拡充を図ることで、更なる顧客取引の拡大が期待できそうだ。
release date 2020.07.06
新型コロナウイルス感染の第2波が懸念される中、グローバル金融市場は不安定な相場展開となっている。また2020年1月末、英国のEU離脱が実現し、現在は移行期間に入っているが、新型コロナ禍において、英国とEUによる将来関係協定交渉を巡る先行き不透明感が高まっている状況だ。足元では中国が香港国家安全法を施行する一方で、米国が中国への制裁法案を可決するなど、世界経済をリードする米中が激しく対立している。更に、11月には米大統領選挙を控えている。現大統領であるトランプ氏の支持率は民主党候補指名が確実なバイデン氏を下回っており、支持率の回復を目指すトランプ氏が選挙に向けて過激な言動や強硬な政策を繰り返す可能性もある。世界各国のFX市場に混乱をきたした新型コロナウイルスのパンデミックや、2016年6月に実施されたブレグジットの是非を問う国民投票、2019年年始の日本円のフラッシュクラッシュと並び、米大統領選挙の前後においてはFX市場のボラティリティが急変動すると予想される。グローバルに地政学リスクが高まる中、今後もボラティリティの拡大が見込まれ、海外FXブローカー及びトレーダーは徹底したリスク管理が求められそうだ。
作成日
:2020.07.06
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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