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世界各国のFX市場が混乱、ブラックマンデーと呼ばれるほどに

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update 2021.08.31 15:28
世界各国のFX市場が混乱、ブラックマンデーと呼ばれるほどに

update 2021.08.31 15:28

パーフェクトストームに見舞われるFX市場

3月9日のFX市場は、新型コロナウイルス(COVID-19)問題や米国債券金利の大幅下落、及び原油価格の急落などを背景に、米ドルに加え、オーストラリアドル、ニュージーランドドル、カナダドルなどコモディティ関連の通貨が急落する場面が見られた。[1]市場参加者の間では、この日の市場の混乱をブラックマンデーや、コロナショックと呼ぶものも出てきている。

世界で最も取引されている通貨ペアであるユーロ/米ドルは、2017年4月以来の高値水準まで上昇した一方で、コモディティ関連通貨は軒並み大幅下落した。また、米ドル/円1か月物のインプライド・ボラティリティは8.8%と、11年ぶりの高値水準まで上昇した。尚、これら全ての通貨は、比較的値動きの乏しかった2019年とは対照的に、ボラティリティが大幅に拡大している状況だ。

JFD GroupのシニアマーケットアナリストであるCharalambos Pissouros氏は、G10(米国や日本など先進10か国)の通貨のなかで、原油関連のオーストラリアドルやニュージーランドドル、ノルウェークローネ、カナダドルの下落が目立つ一方で、ユーロに加えて逃避先通貨である日本円やスイスフランが大きく上昇したという。ユーロの上昇に関しては、ECB(欧州中央銀行)が他の主要な中央銀行よりも政策金利の引き下げが小幅に留まるとの観測に加え、下落の厳しいロシアルーブルなどの新興国通貨を売ってユーロを買い戻すキャリートレードの巻き戻しを要因として挙げている。新型コロナウイルスについては、感染者数の増加ペースが幾分収まる一方で、死者数は急速に増加し、イタリア政府が北部地域からの移動を制限する措置を講じている。Pissouros氏は、市場の反応から判断すると、投資家は新型コロナウイルスが早期に収束するとは見ておらず、リセッション懸念が高まっているという。

またINGのアナリストによると、市場参加者は2008年から2009年にかけてのグローバル金融危機以来、このような市場の混乱を経験しておらず、ボラティリティの大幅上昇に対応しきれていないという。また、同社の市場部門グローバルヘッド兼リサーチ部門英国及び中央・東ヨーロッパ地域リージョナルヘッドであるChris Turner氏は、FX市場はパーフェクトストームに見舞われており、このような市場環境下においては日本円やスイスフランなど安全資産に極端な資金シフトが起きる可能性があるとコメントしている。

主要通貨のボラティリティの大幅変動は、海外FXブローカーとトレーダーの双方に影響を及ぼし得る。2016年6月、ブレグジットの是非を問う国民投票後、多くの海外FXブローカーの流動性供給が枯渇する事態に直面した。また、フラッシュクラッシュに関してもブローカーに損害をもたらすばかりか、投資家も追証やネガティブバランスによるポジションの強制決済に見舞われた。2019年年始の日本円のフラッシュクラッシュでは、同国のSTPブローカーは同年最初の取引日において約860万ドルの損失を計上している。更に、2015年にスイス国立銀行がユーロ/スイスフランの上限撤廃を決定した際のように、中央銀行による金融政策の大幅な変更もトレーダーに甚大な損失をもたらしている。

他方で、欧州を拠点とする海外FXブローカー、Skillingのトレーディング部門ディレクターであるChristos Yerasimou氏は、米国株式取引が停止した以外、何も問題は発生しなかったと述べ、同社のプライシングや執行エンジンは十分に機能したと主張している。また、サーキットブレーカーが発動したことにより米国株式の取引が停止したことで、金や原油を中心としたコモディティ関連取引が大幅増加した模様だ。Yerasimou氏は、ユーロ/米ドルからコモディティや米国以外のインデックスに顧客の関心が移っているという。

ボラティリティの大幅上昇が、海外FXブローカー各社の業績にどの程度影響をもたらしているのか、今後発表される顧客取引動向や四半期業績に注目したい。

release date 2020.03.11

出典元:

ニュースコメント

プライシングや執行機能の向上を図る金融サービスプロバイダー

3月9日の証券市場においては、日本のネット証券会社でサーバーがダウンするシステム障害が発生した。また米国でも3月に入って、Interactive Brokersのサイトがダウンしたほか、ロビンフッド(Robinhood)のシステムもダウンする事象が立て続けに発生していたことから、一部の金融サービスプロバイダーは早急にシステムの増強などの対応を図る必要がありそうだ。他方で、顧客に安定した取引サービスを提供すべく、プライシングや執行機能の改善に注力する金融サービスプロバイダーも散見される。例えば、FXCM ProがYour Bourseと提携し、マルチアセットクラスの流動性サービスを強化するほか、サクソバンク証券がTradesocioと提携し、豊富な流動性と低レイテンシーを実現する執行エンジンの提供を試みている。グローバル金融危機や地政学リスクなどを背景に、今後もボラティリティが大きく高まる場面が訪れると予想される。トレーダーが安心・安全にFX取引を行うためにも、各金融サービスプロバイダーがプライシングや執行機能の改善に繋がるソリューションを開発することを期待したい。


Date

作成日

2020.03.11

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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