作成日
:2020.07.06
2021.08.31 15:32
ブロックチェーン開発を行うPublic Mintは、法定通貨のトークン化を可能にするパブリックブロックチェーンを立ち上げたことを発表した。
発表によると、このプロジェクトは2年の開発期間を経てローンチを実現し、200以上の銀行をネットワークに招き入れることに成功したという。将来的にPublic Mintは幅広い法定通貨の取り扱いを予定しているが、現在はクレジットカードや銀行送金、ACH(Automated Clearing House)による米ドルの入金のみをサポートしているようだ。このブロックチェーンに関してPublic Mintの共同創設者であるHalsey Minor氏は、銀行間で資金を移動することなく、アプリやビジネスプロセスにおける取引が完結できると説明している。
Public Mintは技術的な詳細を明らかにしていないが、このブロックチェーンはHyperledgerが開発する企業向けのイーサリアム(Ethereum)のクライアントであるHyperledger Besuを基礎に構築されており、通常とは異なるコンセンサスアルゴリズムおよび法定通貨を利用した手数料システムを採用しているという。HyperledgerのエグゼクティブディレクターであるBrian Behlendorf氏は、Public MintがHyperledger Besuを活用してソリューションを構築することが、同社のHyperledger DLT開発にとって重要な役割を果たすとコメントした。
このHyperledgerの基礎技術は、IBM Digital Asset Labsのブロックチェーンプロジェクトにも用いられている。IBM Digital Asset LabsのディレクターであるNitin Gaur氏は、Public Mintが伝統的な企業から分散型金融(DeFi)分野の革新的なスタートアップ企業まで、分け隔てなく仮想通貨を利用できる環境を提供していると評価しているが、同プロジェクトには大きな期待がかかっていると言えるだろう。
release date 2020.07.06
現在、米国ではマイクロソフトがAzure Blockchain Tokenを発表し、同社のクラウドサービスであるAzure上でのシステム構築を可能にするなど、企業がブロックチェーンを活用するための環境が整いつつある。実際に大手銀行のウェルズ・ファーゴは独自仮想通貨の試験運用を実施しており、新しい国際決済の手段を確立しようとしているようだ。また、大手投資銀行のJPモルガンチェースはMASと国際送金システムを開発するなど、この流れをアジアにまで拡大しているという。Public Mintが対応する法定通貨を増やしていけば、ブロックチェーンの利用が更に促進されることになるが、同社はこのプロジェクトを成功に導けるのか、今後もその動向に注目していきたい。
作成日
:2020.07.06
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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