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MAS、JPモルガンチェースと国際送金システムを構築

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update 2021.08.31 15:29
MAS、JPモルガンチェースと国際送金システムを構築

update 2021.08.31 15:29

ブロックチェーンベースのソリューション開発を加速

シンガポール金融管理局(Monetary Authority of Singapore)【以下、MASと称す】は、大手投資銀行のJPMorgan Chase & Co.(本社:270 Park Avenue New York, NY 10017)【以下、JPモルガンチェースと称す】とブロックチェーンベースの国際送金システムを構築したことを発表した。[1]

今回の発表によると、この国際送金システムはシンガポール政府が推進するProject Ubinの一環として立案され、同国の政府系投資会社であるTemasekとJPモルガンチェースの協業によってその開発が実現したという。現在、MASはこの国際送金システムを様々なブロックチェーン上のアプリケーションと接続し、企業のトランザクションコストの削減にどの程度貢献できるかの検証を実施している。前回の実証テストにはMASと主要な銀行、ブロックチェーンコンソーシアムを展開するR3、コンサルティングファームのDeloitte(デロイト)などを含む企業が参加したようだ。

2017年にProject Ubinを立ち上げたMASは、元々シンガポールドルのデジタル化に焦点を当てた取り組みを進めていたが、その中で中央銀行などが利用するリアルタイムの国際決済システムを構築できる可能性を見出した。このProject Ubinは第5フェーズに突入しており、証券取引に利用可能なDVP(Delivery-Versus-Payment)決済や条件付き取引、貿易向けのエスクロー決済の開発にまで発展しているようだ。今年6月にJPモルガンチェースはJPMコインのトライアル実施を検討していたが、Project Ubinに参画することでそのノウハウを共有し、MASの開発活動をサポートすることを約束している。

これに関してMASのChief finTech OfficerであるSopnendu Mohanty氏は、次のようにコメントしている。

この開発が他国の中央銀行の取り組みを促進し、技術的な詳細を公開することで発展を加速させるでしょう。多くのブロックチェーンネットワークと接続することで、国境を超えたトランザクションをより迅速で安価、且つ安全なものにしたいと考えています。

Sopnendu Mohanty, Chief finTech Officer at MAS - Monetary Authority of Singaporeより引用

Project Ubinに参加するAccenture(アクセンチュア)は来年初めに、この国際送金プラットフォームのユースケースをリスト化するのに加え、追加機能の開発を検討することを発表している。それが済めばMASのソリューションはオープンソースとして公開の予定とされているが、仮想通貨市場にどのような影響を与えるのか、今後もその展開を見守っていきたい。

release date 2019.11.12

出典元:

ニュースコメント

成長著しいシンガポールの仮想通貨市場

仮想通貨関連のスタートアップ企業が世界各国から数多く集まっているため、シンガポールのフィンテックおよび仮想通貨市場にはアジア諸国を中心とした地域から大量の投資マネーが流入している。この仮想通貨市場の拡大を受けてバイナンスがシンガポールでサービス開始を正式発表するなど、大手取引所や仮想通貨関連企業の参入が進み、個人や機関投資家向けのサービスも拡充されてきているようだ。更に政府間のプロジェクトもいよいよ実用化をうかがうレベルまで発展しており、今年5月にはMASとカナダ銀行がクロスボーダー決済の実証実験を成功させたことを発表したばかりだ。政府の後押しもあってシンガポールの仮想通貨市場は目覚ましい成長を見せている。国内の仮想通貨関連ベンチャーだけで1月に総額2,000万ドルの投資を集めるほどの規模となったが、MASが主導するProject Ubinが現実のものとなれば、この傾向はより顕著なものになると言えるだろう。今後もシンガポール政府による仮想通貨関連の取り組みには注目していきたい。


Date

作成日

2019.11.12

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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