作成日
:2019.11.12
2022.06.07 10:59
米国最大のFXブローカーであるForex.comを運営するGain Capital Holdings Inc(本社:135 US Highway 202/206, Suite 11 Bedminster, NJ 07921
)【以下、GAINと称す】は、2019年10月期の業績を報告した。取引高に関しては、前月比で増加に転じたものの、前年同月比では大幅なマイナスとなる、まちまちな結果に終わった。GAINの2019年10月期の店頭(OTC)外国為替取引量は1,719億ドルとなり、2019年9月期の1,515億ドルから13%増加する一方で、2018年10月期の2,310億ドルからは25%急減した。1日当たりの平均取引量(ADV)は75億ドルとなり、前月期の72億ドルから4%増加したのに対し、前年同月期の101億ドルからは3分の1となる大幅縮小で着地した。また、リテールFX部門アクティブ口座数は120,807口座と、前月期の118,751口座から微増、前年同月期の127,054口座からは5%減少しており、これらの結果を踏まえると、GAINの業績が依然として不安定なものになっていると推察される。なお、先物取引高に関しては594,021枚と、2018年10月期の814,345枚から27%減少する軟調な結果となった。
2019年10月下旬にGAINは2019年度第3四半期業績を発表しており、純営業収益は6,670万ドルと、2018年第3四半期の9,550万ドルから30%急減すると共に、2019年第2四半期の7,550万ドルと比較しても11%減少した。GAINは営業収益が減少することで利益も縮小する苦境から抜け出せていない模様であるが、顧客エンゲージメントに関しては前年同期比ベースで増加しており、ポジティブな兆しも見え始めている。他方で、ライバルとなるOANDAやIG USの9月期FXファンドが大幅増加しており、続く10月の取引状況も気になるところであるが、GAINとしては、明るい兆候である顧客エンゲージメントの増加を如何にして取引の活性化に結びつけるか、今後の動向を見守りたい。
release date 2019.11.12
英国・ロンドンを拠点に1974年に創業したIG Groupは、米国の規制強化の影響を受け、一時は米国市場から撤退していたものの、2019年2月にFX取引サービスを提供する米国法人IG USを設立したことで、約8年ぶりに同国のFX市場に舞い戻ってきた。IG USでは80市場を超えるFX取引サービスを提供しており、特に取引量の多いユーロドル通貨ペアのスプレッドに関しては、米国で圧倒的な市場シェアを握るGAINやOANDAと比較して、27%ほど低い競争力のあるプライシングを提示しているところに特色を持つ。また、米ドルの取引量に応じたリベートを提供しているほか、取引プラットフォームに関しては、オンラインベースに加え、世界中の投資家が愛用しているMetaTrader 4(MT4)も導入している。更に、IG GroupはForex Park FXと提携し、積極果敢に米国FX市場を占有する2社の牙城を取り崩そうとしている状況だ。米国FX業界のガリバーであるGAINが、顧客取引の低迷からの脱却に苦戦する一方で、同国への再進出により勢いに乗るIG USが、更なる顧客シェアの拡大に向け、如何なるソリューションを提供するか注目したい。
作成日
:2019.11.12
最終更新
:2022.06.07
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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