Select Language

欧州証券取引所連合、株式取引時間短縮に関する声明文を公表

欧州証券取引所連合、株式取引時間短縮に関する声明文を公表

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS

  • X
  • facebook
  • LINE
  • RSS
update 2022.01.13 13:02
欧州証券取引所連合、株式取引時間短縮に関する声明文を公表

update 2022.01.13 13:02

取引時間の短縮は適切ではないと指摘

欧州証券取引所連合(本社:Avenue de Cortenbergh 116 1000 Brussels - Belgium[1])【以下、FESEと称す】は7月1日、株式取引時間の縮小は欧州市場に悪影響を及ぼす可能性があると指摘した声明文を公表した。[2]

2019年11月、欧州金融市場協会(Association for Financial Markets in Europe, AFME)及び英国投資家協会(Investment Association, IA)が、欧州の各取引所に対して取引時間の見直しを要請していた。一方で、FESEは最終投資家ニーズや他市場との相互作用、流動性に関する潜在的脅威、クロスボーダー取引への影響、市場の競争力などに鑑み、株式取引時間の変更は欧州市場及び最終投資家に悪影響を与える可能性があると指摘している。

FESEはリスクと流動性管理において、透明性と公平性が高い強靭な市場の形成が最も重要であるという。新型コロナウイルス(COVID-19)危機を受け、各国規制市場ではボラティリティと取引量が増加している状況だ。このような市場環境下において、欧州規制市場の取引開始及び終了間際における流動性問題は生じておらず、現在の取引時間の長さは投資家ニーズを反映したものであるという。また、組織的内部執行業者(Systematic Internaliser)【以下、SIと称す】や店頭(OTC)取引を通じ、証券取引所の取引時間外においてトレードがなされる中、証券取引所での取引時間を短縮することは、取引の公平性を欠く可能性があると指摘している。更にFESEによると、SIや店頭市場では証券取引所の取引時間外におけるマルチアセットクラスのトレードに対応するためのスタッフを擁していることから、取引時間の短縮が社員の健康に影響を及ぼさないという。一方で、それ以外の企業レベルで講じられる施策に関してはワークライフバランスの改善を図る必要があると懸念している。

尚、新型コロナ禍においてグローバル金融市場が不安定化する中、BISが米ドル資金調達動向関連のレポートを公表したほか、欧州大手決済業者4社が業界団体を設立するなど、国際機関や各種業界団体が健全な市場の発展に向けた取り組みを強化している状況だ。FESEは株式取引時間短縮に関する声明文を公表したが、今後も同団体による投資家の利便性向上に繋がる様々な提言に注目したい。

release date 2020.07.03

出典元:

ニュースコメント

証券関連の有力業界団体であるFESE

FESEは30か国にまたがる証券取引所35社を代表し、欧州当局が目指す資本市場同盟(CMU)の形成をサポートする業界団体だ。同団体にはユーロネクスト(Euronext)やドイツ取引所、ナスダック(Nasdaq)などの正規会員18社と準会員1社、オブザーバー会員1社の合計20社が加盟している。これらのグローバル証券取引所には8,456社が上場し、年間の株式取引量は65億ユーロ、デリバティブ取引量が5,970億ユーロに達しており、有力証券取引所が集結するFESEは証券関連の一大自主規制機関といえる。他方で、LMAXがウィークエンドFX取引サービスを開始したほか、日本取引所グループがデリバティブ商品の祝日取引を導入する意向を示すなど、各金融サービスプロバイダーが投資家ニーズに対応する形で取引時間の拡充を図っている。今回FESEが欧州市場での取引時間の短縮に異議を唱えたことは、グローバル市場の流れに沿うものである。新型コロナ禍においてFX市場の取引時間外に市場変動要因となり得るイベントが頻繁に発生している中、今後もFESEなどの業界団体や海外FXブローカー各社が、市場動向や顧客ニーズにマッチしたソリューションを提供することに期待したい。


Date

作成日

2020.07.03

Update

最終更新

2022.01.13

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

arrow
プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

この記事は、お役に立ちましたか?

ご覧いただきありがとうございます。Myforexでは、記事に関するご意見・ご感想をお待ちしています。
また、海外FX・仮想通貨の経験が豊富なライター様も随時募集しております。

お問い合わせ先 [email protected]

貴重な意見をいただきありがとうございます。
貴重な意見をいただきありがとうございます。

関連記事

アクセスランキング

メタマスクが勝手に開く現象が多数報告!原因や対処法は?

PCでブラウザを立ち上げた際にメタマスクが勝手に起動する現象が起きており、SNS上でも話題になっています。Myforex編集部でもこの現象を確認しており、当記事執筆時点(2025年4月3日)ではGoogle ChromeとBraveのブラウザで発生していることが確認できています。
update2025.04.03 19:45

ワールドコインのOrb(オーブ)の日本設置場所は?無料配布を受けられる登録会場の予約方法も解説

ワールドコインのOrb(オーブ)で生体認証を行うことで、仮想通貨WLDを無料で受け取れます。当記事では、ワールドコインの日本国内のオーブ設置場所、探し方、予約方法などを解説します。
update2025.03.21 19:30

XMTrading・Vantage Trading・AXIORY公式アプリがApp Storeから削除

海外FXブローカーのXMTradingおよびVantage Trading、AXIORYのアプリがApp Storeから削除されたことが確認されました。本記事では、削除の背景や考えられる理由、ユーザーへの影響、そして今後の対応策について詳しく解説します。
update2025.03.25 19:30

VPSではMT4・EAは何個起動できる?複数稼働は可能なのか?

スペック別のEAの起動数の目安のほか、VPSの負担を軽くする方法を説明します。同時に起動するEAの数が多すぎると、MT4が動かなくなる可能性があるので注意が必要です。VPSを使っているならば、MT4やEAをいくつ起動できるかを把握しておくことが大切です。
update2025.01.23 19:00

Galaxy DAOが出金受付を開始?返金を期待できない3つの理由

Galaxy DAOが、返金の受付を開始するという内容のメールをユーザーに配信していたことが明らかになりました。しかし、多くのユーザーは返金の実現には懐疑的です。なぜGalaxy DAOによる返金が期待できないのか3つの理由を説明します。
update2025.03.19 19:30

キャプテン翼-RIVALS- がJOHNトークンのエアドロを発表!LINEなどで遊べるMini Appの独自トークン

「キャプテン翼-RIVALS- Mini App」は、キャプテン翼のIPを活用したWeb3ゲームです。2025年4月にJOHNトークンのエアドロップが予定されており、注目を集めています。本記事では、JOHNトークンの特徴、エアドロップの仕組み、将来性などを解説します。
update2025.03.27 19:00

【MT4/MT5】フィボナッチを自動で描写!便利なインディケータを徹底比較

フィボナッチを使ってチャート分析をする際、ラインの引き方が分からなかったり、毎回手動で引くのが面倒だったりなどの難点があります。そこで本記事ではフィボナッチを自動描画できるMT4/MT5用インディケータを徹底比較します。
update2025.02.12 19:00

MT4/MT5対応の通貨強弱インディケータを徹底比較!無料で使えるおすすめは?

通貨強弱インディケータを使うと各通貨の強弱が一目で分かり、初心者でも視覚的に相場状況を把握できます。この記事では、無料のおすすめインディケータを比較し、選び方や活用方法を解説します。
update2025.02.05 19:30

MTF-MAでトレードのレベルを上げる。MT4/MT5で使えるインディケータを比較

MTF分析は複数の時間足を組み合わせて相場全体を把握する手法です。MTF分析を使いこなすことでエントリーの方向やタイミングを掴みやすくなります。本記事ではMTF分析を簡単にするインディケータや、エントリー精度を上げる方法を解説します。
update2025.01.21 19:15

MT4/MT5のローソク足の色は4つのポイントでカッコよくできる!

MT4/MT5は、自分だけのオリジナルデザインにチャートをカスタマイズできます。配色や表示設定を少し変えるだけで、補色やコントラストを意識することで、より視覚的に分かりやすいチャートにすることも可能です。この記事では、誰でも簡単にできるチャートのカスタマイズ方法を4つのポイントに分けてご紹介します。
update2025.02.12 19:30
youtube youtube

免責事項:Disclaimerarw

当サイトの、各コンテンツに掲載の内容は、情報の提供のみを目的としており、投資に関する何らかの勧誘を意図するものではありません。
これらの情報は、当社が独自に収集し、可能な限り正確な情報を元に配信しておりますが、その内容および情報の正確性、完全性または適時性について、当社は保証を行うものでも責任を持つものでもありません。投資にあたっての最終判断は、お客様ご自身でなさるようお願いいたします。

本コンテンツは、当社が独自に制作し当サイトに掲載しているものであり、掲載内容の一部または、全部の無断転用は禁止しております。掲載記事を二次利用する場合は、必ず当社までご連絡ください。

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

Myforexでは、このウェブサイトの機能向上とお客様の利便性を高めるためにクッキー使用しています。本ウェブサイトでは、当社だけではなく、お客様のご利用状況を追跡する事を目的とした第三者(広告主・ログ解析業者等)によるクッキーも含まれる可能性があります。 クッキーポリシー

クッキー利用に同意する
share
シェアする
Line

Line

Facebook

Facebook

X

Twitter

キャンセル