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欧州大手決済業者4社、新たに業界団体を設立

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update 2021.08.31 15:32
欧州大手決済業者4社、新たに業界団体を設立

update 2021.08.31 15:32

デジタル決済の推進に向けEU法に影響を与える活動を行う方針

Ingenico Group【以下、インジェニコと称す】とNets Group【以下、ネッツと称す】、Nexi、Worldline【以下、ワールドラインと称す】の欧州大手決済業者4社は5月7日、欧州の決済関連の業界団体としてEuropean Digital Payments Industry Alliance【以下、EDPIAと称す】を立ち上げた。[1]

EDPIAは欧州がデジタル決済分野のグローバルリーダーとなり、単一デジタル市場(Digital Single Market)【以下、DSMと称す】を構築することを主目的とし、欧州の決済業界向けのポリシーディスカッションと、即時で安全性と利便性の高い決済サービスの提供を推進していくという。また、同団体は透明性と市場志向のソリューション開発を競う仕組みの構築に取り組む意向であるほか、欧州連合(European Union, EU)がクロスボーダー決済を推進すべく、単一ユーロ決済圏(Single Euro Payment Area, SEPA)を通じた決済エコシステムの構築を求めている。尚、EDPIAは銀行サービスの提供を本業としない欧州拠点のデジタル決済サービス業者のみで構成される唯一の業界団体だ。

EDPIAの設立に際し、ワールドラインの会長兼CEOであるGilles Grapinet氏、ネッツのCEOを務めるBo Nilsson氏、インジェニコのCEOであるNicolas Huss氏は、それぞれ以下のようにコメントしている。

EDPIAは、欧州決済業界において革新的なテクノロジーの活用を推進します。フィンテックハブを形成する欧州には、ワールドクラスの決済業者が多数存在しています。我々はデジタル決済関連の啓蒙を行い、欧州市民に対して日常的に利用している決済端末やオンライン決済エンジンなどに関して理解を深めることに寄与したいと考えております。

Gilles Grapinet, Chairman and CEO of Worldline - EDPIAより引用

決済専門業者として、我々は欧州地域の決済エコシステムの形成に寄与する付加価値情報を提供していきます。銀行業界やその他の金融機関と連携し、小売業者に対して十分に安全で効率的なデジタル決済ソリューションを提供する意向であり、欧州の様々な業界がデジタル化のメリットを享受できるでしょう。

Bo Nilsson, CEO of Nets Group and Vice President of The EDPIA - EDPIAより引用

新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大により、消費者と小売業者の安全性を確保すべく、これまで以上にキャッシュレスや非接触決済の利用が増加しています。新型コロナウイルスの危機から脱し、欧州経済の回復を図る上で決済サービスの重要性が高まると見ており、欧州の主要決済業者である我々はEDPIAを通じ、DSMの形成に寄与するデジタル決済の開発にコミットしております。

Nicolas Huss, CEO of Ingenico Group and Vice President of The EDPIA - EDPIAより引用

ポストコロナの新常態を見据え、デジタルサービスの利用拡大が見込まれる中、EDPIAによるDSMの構築に向けた動きに注目したい。

release date 2020.05.11

出典元:

ニュースコメント

5億人規模の欧州デジタル市場の形成を目指すDSM

EDPIAが形成を目指すDSMは、EU加盟国間で分断されたデジタル市場を統合させることである。2015年5月に、欧州委員会(EC)が16の施策を掲げたデジタル市場戦略を策定したほか、一般データ保護規則(GDPR)などの規制が適用開始されており、欧州当局は同市場の構築に向けた動きを加速させている状況だ。DSMが形成されることにより、デジタル分野においても欧州における5億人規模の市場が創出され、多岐にわたる業界への経済波及効果も期待されている。他方で、フィンテック革命によりFX業界では複数の決済関連ソリューションが開発されている。例えば、TickTradeがグローバル決済ソリューションをリリースしたほか、JPモルガンチェースが新決済ネットワークを日本でリリースした。更にTopFXがBridgerPayと提携し、最適化された決済サービス機能の提供を実現させている。各国当局やEDPIAなどの業界団体がDSMの構築を推進する中、今後も多くの金融サービスプロバイダーが、ユーザーの利便性向上に寄与する画期的な決済ソリューションを開発することを期待したい。


Date

作成日

2020.05.11

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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