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ESMA、2019年の年次報告書及び2020年の監督業務計画の修正版を公表

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update 2022.01.13 13:09
ESMA、2019年の年次報告書及び2020年の監督業務計画の修正版を公表

update 2022.01.13 13:09

新型コロナウイルス危機に関連したリスクへの対応に注力

欧州証券市場監督局(The European Securities and Markets Authority)【以下、ESMAと称す】は、投資家保護の徹底及び秩序と安定性ある金融市場の構築を目標として掲げていた2019年の年次報告書及び2020年の監督業務計画の修正版を公表した。[1]

2019年の年次報告書においては、ESMAの主要な活動内容が示されている。また、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受け、同局は2020年の監督業務計画の修正版を公表し、同危機への対応に注力する意向を示している。特に同計画には新型コロナウイルス対策に関する追加業務に加え、ESMAに付与された権限の内、優先順位の低い事項などもまとめられているという。

ESMAが2019年に達成した具体的な活動内容としては、組織横断的な事項として欧州市場インフラ規則2.2(European Market Infrastructure Regulation 2.2)【以下、EMIR2.2と称す】などに基づき、同局の権限強化への対応やブレグジットに関連したリスクのモニタリング及びSupervisory Coordination Networkを活用した移転企業の監督を実施したとのことだ。また、バイナリーオプションやCFD規制策の導入や個人投資家向けの金融商品のコスト及び運用パフォーマンスに関する初の統計レポートの公表に加え、ESMAはMiFIDⅡの行動規範遵守の徹底を要請している。

更に、ESMAは投資ファンド向けのストレステストの実施に向けたフレームワークの構築や、オルタナティブ投資ファンド及びデリバティブ市場関連の年次統計レポートの公表のほか、同局に報告されるデータの質の確保にも努めたという。また、欧州金融市場の単一ルールブック(Single Rulebook)の策定に向け、サステナブルファイナンスや各種規制策の適用状況の監督及びESA(European Supervisory Authorities)との協働に加え、信用格付機関(Credit Rating Agency)【以下、CRAと称す】や取引情報蓄積機関(Trade Repository)【以下、TRと称す】などの直接監督を強化したとのことだ。

年次報告書などの公表に際し、ESMAの局長であるSteven Maijoor氏と同局のエグゼクティブディレクターを務めるVerena Ross氏は、それぞれ以下のようにコメントしている。

我が局にとって2019年は移行期間であり、年次報告書は我々が数多くの局面において大きな進展を成し遂げたことに加え、スタッフの決意やコミットメントを示すものであります。ESAレビューにおいて我が局の権限が強化される政治的合意がなされた中、単一ルールブックの統一的な適用や資本市場同盟(Capital Markets Union)及びサステナブルファイナンスの構築に注力するなど様々な対応を図ってきました。新型コロナウイルス危機において、我々は安定した市場の確保と投資家保護を徹底すべく、各種規制策を慎重に修正しております。

Steven Maijoor, Chair of ESMA - ESMAより引用

2019年は直接監督の権限が付与されたことに対応すべく、我々は組織改革を実行いたしました。また、我が局は本社を移転し、スタッフ及び来訪者に対し新たな職場環境を提供しております。2019年の年次報告書に加え、我々は2020年の監督業務計画の修正版を公表しており、改めて重点監督事項を定めると共に、新型コロナウイルス危機への様々な対応策も示しております。

Verena Ross, Executive Director of ESMA - ESMAより引用

依然として欧州金融市場が新型コロナウイルスのパンデミックの影響を受ける中、ESMAが投資家保護と安定した金融市場の形成に向け、今後如何なる規制策及び支援策を講じるか注目したい。

release date 2020.06.17

出典元:

ニュースコメント

多様な分野で規制強化を図るESMA

ESMAは2020年の監督業務計画の修正に当たり、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス危機に断固として取り組む姿勢を示している。足元においても、ESMAはネットショートポジションの報告義務を更新適用したほか、EU各国当局の空売り規制延長に対し同意する方針を示している状況だ。また、同計画の修正版においては証券金融取引規則(SFTR)と証券化規則(SECR)に基づくCRAやTRの直接監督の強化のほか、第三国中央清算機関(第三国CCP)の再評価及びEMIR2.2に基づくティア2クラスのCCPを対象にした新モニタリングシステムの策定など、従来版からの継続となる重点監督事項が盛り込まれている。特に新型コロナ禍において、ESMAはScope Ratingsに罰金を科すなど、CRA各社に対して健全性と透明性の高い格付け手法の採用を強く求めている。同局の権限が強化される中、データドリブン(Data Driven)な監督や金融イノベーションなど業務領域の拡大を図っており、今後も多岐にわたる分野においてESMAが繰り出す規制策を注視する必要がありそうだ。


Date

作成日

2020.06.17

Update

最終更新

2022.01.13

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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