作成日
:2020.06.16
2021.08.31 15:33
米商品先物取引委員会(Commodity Futures Trading Commission, CFTC)の元会長でデジタルドルプロジェクトのディレクターを務めるJ. Christopher Giancarlo氏は、下院の金融サービス委員会(House Financial Services Committee, FSC)が主催した公聴会で米ドルのトークン化を実施すべきだとの意見を述べた。
以前からGiancarlo氏は景気刺激策の給付金をデジタルドルで配布すべきだと指摘していたが、今回、米国が世界の金融システムを主導する立場を守りたいのであれば、デジタルドルの発行が必要であると言及した。また、Giancarlo氏は何千万人もの国民が小切手による給付金の受け取りを1カ月以上待っている現状に触れ、既存の口座ベースの金融システムと並行して次世代のテクノロジーの利用を模索すべきだとの見解を示している。一方、Electronic Transactions AssociationのCEOであるJodie Kelley氏は、国民に対する給付の緊急性に焦点を当てた議論を展開しており、年間8.5兆ドル以上の決済を処理するプリペイド式デビットカードやPayPal(ペイパル)、VenmoなどのP2P(ピア・ツー・ピア)アプリも利用可能なことを明示した。Kelley氏によると、特にプリペイド式デビットカードはスマホも不要で低所得者への支払いに適した方法だという。
カリフォルニア大学アーバイン校(University of California Irvine)法学部教授のMehrsa Baradaran氏は、ブロックチェーンの利用が時期尚早であると語った。Baradaran氏は問題が金融包摂であることを強調し、米郵便公社(U.S. Postal Service)と連邦準備銀行(Federal Reserve Bank)【以下、FRBと称す】が協力して地方に支店を開設することも可能だと説明した。これに加えてヴァンダービルト大学(Vanderbilt University)法学部教授のMorgan Ricks氏は、FRBが消費者に直接提供する銀行口座であるFedAccountがあれば、トークン化しなくともデジタルドルの発行を実現できると言及している。FRBが大手金融機関や政府機関に銀行サービスを提供していることからもわかるように、FedAccountの設定は理論的に可能であり、当局はFedWireシステムを通じたリアルタイム決済を行うこともできるという。
この公聴会の中で下院議員のPatrick McHenry氏は、Giancarlo氏にトークン化されたデジタルドルがどのように金融包摂と助成金の分配に役立つかの説明を求めた。これに対してGiancarlo氏はインターネットやモバイルデバイスへのアクセスが新たな障壁になる可能性を認めたものの、それを解決することで銀行サービスの利用が限りなくシンプルかつ容易になると同時に、より多くの人々を金融システムに取り込むことができると主張している。公聴会前にAccentureのDavid Treat氏は一部のステークホルダーが段階的な変更にしか対応できない可能性があると述べ、金融システムを近代化するために認識を改める必要があることを指摘しているが、米政府はどのような方針を示すのか、今後も同国での動きに注目していきたい。
release date 2020.06.16
今年初めに中国政府が暗号法を施行して以降、世界各国でCBDCに関連する研究開発が活発に行われるようになってきている。米国ではVISAが新技術の特許を申請するなど、民間企業の間でもCBDC開発に向けた具体的な動きが見られる。米議会では新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大による景気後退などを背景に、デジタルドル活用に向けた議論が流動的になってきているが、有識者の中にはこれが既存の金融システムのリスクになると強く論じる者も存在するようだ。実際に日銀副総裁はCBDCが日本のメリットになり得ないとの考えを示しており、金融インフラが発達した先進国ではそれが逆に安定性を脅かす要因になると主張している。しかしながらCBDCが世界経済や金融システムにもたらすポジティブな影響も考慮しなければならないだけに、各国政府にとっては覇権国家である米国の判断が重要な指標になってくると言えるだろう。
作成日
:2020.06.16
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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