作成日
:2020.06.08
2021.08.31 15:33
金融情報会社Refinitiv(本社:5 Canada Square London E14 5AQ United Kingdom
)【以下、リフィニティブと称する】は、主にウクライナのFXトレーダーを対象にした、Refinitiv Matchingの最新版をリリースした。セントラルリミットオーダーブックへのアクセスが行えるRefinitiv Matchingは、FXトレーダーを対象とし、クレジット関連のリアルタイムなスクリーニングや安定したプライシング提供、充実した流動性及び執行サービスを提供することで、FX業務の効率化やシステマティックな投資戦略の策定に寄与するという。同ツールはウクライナ市場向けに標準提供され、規制当局にとっても公正で透明性の高い市場の確保に活用できる模様だ。
Refinitiv Matching最新版のリリースに際し、ロシア及び中東欧で最大規模を誇るSberbankのウクライナ法人でチーフトレーダを務めるIhor Sarnatsky氏とリフィニティブの中東欧地域マネージングディレクターであるAntonio De Gregorio氏は、それぞれ以下のようにコメントしている。
Refinitiv Matching最新版のリリースは、的確に顧客ニーズを満たしており、ウクライナのFX市場の発展に大きく寄与すると見ております。
Ihor Sarnatsky, chief trader at Sberbank Ukraine - Refinitivより引用
ウクライナのFXトレーダーを主眼に置いて設計されたRefinitiv Matchingの最新版をリリースできたことを、我々は喜ばしく思っております。同ツールがリリースされたことで、我が社のお客様はエンドツーエンドの自動化されたワークフローを採用し、安定したプライシングや執行、自動レポートサービスを活用できるようになります。ウクライナのFX市場において取引ワークフローの自動化やデジタル化を図る上で、同国の中央銀行や民間銀行と協働したことは、コスト効率と透明性の高いインターバンク市場の形成に寄与すると共に、FX市場の更なる発展に繋がる画期的な出来事であったと見ております。
Antonio De Gregorio, managing director for Central and Eastern Europe at Refinitiv - Refinitivより引用
尚、リフィニティブはElektronとXcoreを統合したほか、リフィニティブはグローバルサステナブル戦略を公表するなど、多岐にわたる分野でサービス強化を図っている。そして今回、同社は顧客需要に対応する形でRefinitiv Matchingのアップグレードを行っており、更なる利用の拡大が期待できそうだ。
release date 2020.06.08
リフィニティブを始め、多くの金融サービスプロバイダーがウクライナやベラルーシなど東欧市場の開拓を試みている。例えば、WisunoFXやCapital Comなどがベラルーシでライセンスを取得しているほか、仮想通貨分野においてはバイナンスがウクライナ政府を積極的に支援している。背景には、ロシア金融市場の魅力が大きく低下していることが挙げられる。2014年のロシアによるクリミア併合をきっかけに、欧米諸国が制裁を行い、ロシア経済の先行き不透明感への懸念が強まっているほか、2018年12月には、ロシア中央銀行がAlpariなど複数の海外FXブローカーのライセンスを剥奪したことで、FX市場から競争原理を排除した。更に、ロシア中銀がモルガンスタンレーの銀行ライセンスを取消など、複数の大手金融機関も同国での業務縮小を余儀なくされている。多くのトレーダーは、安定的且つ充実したサービスの利用が望めないロシアから隣国の東欧市場にシフトしている模様である。海外FXブローカーが各国の投資家動向や規制環境に適した画期的なソリューションを提供することに今後も期待したい。
作成日
:2020.06.08
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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