作成日
:2020.06.02
2021.08.31 15:33
仮想通貨およびブロックチェーン関連の資産管理会社であるMaiCapital(本社:Suite 2004, 299QRC, 287-299 Queen's Road Central, Hong Kong
)は、ビットコイン(Bitcoin)を対象としたクオンツファンド(定量分析を基礎に取引を行うファンド)を立ち上げることを発表した。この新しいファンドはBitcoin+ Investment Fundと呼ばれ、MaiCapitalが立ち上げる2番目の仮想通貨ファンドになるという。香港の証券先物事務監察委員会(Securities and Futures Commission)【以下、SFCと称す】による規制の下、MaiCapitalは最初の仮想通貨ファンドであるBlockchain Opportunity Fundを14カ月以上運用した実績を持っており、この新しいファンドに関してもその経験を活かして管理を行っていくと言及している。現在、仮想通貨市場には同様の仮想通貨ファンドが多数存在しているが、その多くはパッシブ型の運用を行うもので、変化する市場環境の中でパフォーマンスを追求するBitcoin+ Investment Fundとは本質的に異なるようだ。MaiCapitalは洗練された定量分析アルゴリズムで投資判断を最適化し、テクニカル分析およびドローダウン保護メカニズムを組み合わせることでビットコイン関連商品への投資からリターンを生むことを目指す。
今回、MaiCapitalはBitcoin+ Investment Fundをローンチするにあたって、世界的な法律事務所であるSidley Austinと提携している。Sidley AustinのJoy Lam氏は、仮想通貨市場ではより革新的なものだけでなく、完全に規制された信頼性の高い投資商品に対する需要が増加している事実に触れ、MaiCapitalのBitcoin+ Investment Fundがその典型例であると説明した。一方、MaiCapitalのカストディパートナーとなったOSLのCEOであるWayne Trench氏は、同社が香港および周辺地域における仮想通貨市場の発展を促す重要な役割を担う可能性があると述べた。
SFCの規定によってMaiCapitalは、認定投資家に限定してBitcoin+ Investment Fundを販売することが許可されている。MaiCapitalは香港の仮想通貨市場をリードする存在として認知されているが、この新しい仮想通貨ファンドのローンチがどのような変化をもたらすのか、今後も同社の取り組みに注目していきたい。
release date 2020.06.02
これまで仮想通貨市場は欧米諸国の積極的な投資によって発展を遂げてきたが、大手コンサルティングファームのPwCが仮想通貨業界のM&Aおよび資金調達が鈍化していると報告したことからもわかるように、その構造が変化しつつあるようだ。近年、仮想通貨開発の重心はアジア諸国にシフトしており、特に世界的な金融センターであるシンガポールでは仮想通貨業界に多額の資金が流入しているという。シンガポール政府もこの流れをサポートする意向を示し、IRASが仮想通貨税制のガイドラインを発行するなど、投資家を取り巻く環境が改善に向かっている。香港の仮想通貨市場もシンガポールと同様に大幅な成長が期待されていたが、民主化デモや新型コロナウイルス(COVID-19)の影響を受けて出遅れており、これらの地政学的リスクが解消されるまでは厳しい状況が続くと言えるだろう。
作成日
:2020.06.02
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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