作成日
:2020.05.26
2021.08.31 15:32
今月21日、アルバニア議会が、仮想通貨の法的フレームワークを構築するために、新しい仮想通貨関連法を成立させたことが明らかになった。
この法案はもともと2019年10月にアルバニア議会の経済委員会によって提案されたものだが、今回、賛成88票、反対16票、棄権3票の結果を持って正式に可決されたという。これによりアルバニア政府は、国内で活動する仮想通貨関連企業に対してライセンス発給の条件を定められるようになり、仮想通貨市場全体を規制することが可能となる。アルバニアの財政経済大臣であるAnila Denaj氏は、この新しい法律が事業者を監督する役割を果たすと同時に、違反者に厳しい罰金を課す根拠になると説明しているが、仮想通貨メディアのCoinTelegraphはこれを「欧州で最も包括的な仮想通貨法」と評価している。
今回アルバニアは、2018年のマルタ、2019年のフランスに続いて、EU(欧州連合)で独自の仮想通貨規制を講じた3番目の国となった。アルバニアは仮想通貨の法的フレームワークを構築することで、国外の仮想通貨関連企業を誘致しようとしている可能性がある。実際にマルタは同様の戦略を用いて成功を収めており、多国籍な仮想通貨関連企業が集まるブロックチェーンアイランドと呼ばれているようだ。
これまでブロックチェーンおよび仮想通貨関連企業の多くは、曖昧な規制に違反して結果的に罰せられるリスクを回避するために、特定の国に依存しない形で事業を継続させてきた。しかしながら近年、アルバニアを含む複数の国が仮想通貨規制を明確化しようと法整備を行なっており、市場環境に変化が現れ始めているが、これが仮想通貨関連企業にどのような影響を与えるのか、今後もこれら企業の動向を見守っていきたい。
release date 2020.05.26
昨年、マルタ政府は仮想通貨金融資産法を施行し、他の先進諸国と同様に仮想通貨関連企業向けのライセンス制度を導入することに成功している。既にマルタ政府は14社以上の仮想通貨関連企業をVFA(Virtual Financial Assets)エージェントとして承認しており、国内の仮想通貨市場が活気付いているという。しかしながらマルタ政府は資金洗浄対策の強化をEUから要求されるなど、他の加盟国と足並みを揃えるよう圧力をかけられている状況だ。過去に規制強化に踏み切ったバヌアツはオフショア市場としての魅力が低下した例からもわかるように、これに屈すればマルタの金融ハブとしての立場が危うくなることは必至だと言えるだろう。今回、独自の仮想通貨規制を講じたアルバニアも、マルタと同じくEUから圧力を受ける可能性があるが、どのような方針を持って対応するのか、今後も同国市場での展開に注目していきたい。
作成日
:2020.05.26
最終更新
:2021.08.31
米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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