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モーリシャス銀行総裁、CBDC発行の可能性について言及

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update 2021.08.31 15:32
モーリシャス銀行総裁、CBDC発行の可能性について言及

update 2021.08.31 15:32

近日中にパイロットプロジェクトに着手する可能性

今月12日、モーリシャス銀行(Bank of Mauritius)のHarvesh Seegolam総裁は、同行が小売店での決済利用を目的とした中央銀行発行の独自デジタル通貨(Central Bank Digital Currency)【以下、CBDCと称す】発行に近づいていることを明らかにした。[1]

昨年11月、モーリシャス銀行のYandraduth Googoolye元総裁がCBDCについて言及し、その発行に向けた調査が進んでいることが初めて公になった。実際にモーリシャス共和国は仮想通貨に精通しており、仮想通貨カストディサービス向けのライセンス制度やセキュリティトークンに関するガイダンスの整備を行なっているという。先日開催されたCoinDesk ConsensusでSeegolam総裁は、詳細を語らなかったものの、近い将来、同行がCBDCのパイロットプロジェクトに着手する予定であると述べた。これに加え、Seegolam総裁は国家の金融システムを揺るがすリスクを回避するためにも、中央銀行がCBDCを活用すべきだと指摘している。

Seegolam総裁はモーリシャス銀行の取り組みに関して次のようにコメントした。

モーリシャス銀行は現在、プロジェクトの立ち上げに取り組んでいるが、CBDC導入の可能性に関しては間も無く発表を行う予定です。同行はCBDCの発行を考慮する段階にあり、皆が興味を示しているものの、検討を進めるには最初に答えを出さなければならない基本的な問題が存在します。それは障害になり得ることではなく、より効率的な方法で機能させるための方法論です。

Harvesh Seegolam, Governor of Bank of Mauritius - CoinDeskより引用

モーリシャス共和国はCBDCを発行しようとしている唯一の島国ではない。マーシャル諸島政府も仮想通貨プロジェクトを立ち上げており、基盤となるブロックチェーンインフラとしてAlgorandを採用するなど、関連技術の開発を促進しているようだ。今回、Seegolam総裁はCBDCの発行を確約した訳ではないが、世界各国で仮想通貨市場が盛り上がりを見せているだけに、今後も同行の取り組みに注目していきたい。

release date 2020.05.14

出典元:

ニュースコメント

タックスヘイブンへの圧力を強める国際社会

モーリシャス共和国は人口120万人程度の小国だが、マーシャル諸島や米領サモア、パラオ、トリニダード・トバゴ、マカオなどと並び、経済協力開発機構(OECD)にタックスヘイブンとして指定されている。これらのタックスヘイブンはグローバル企業や富裕層の租税回避に利用される可能性が高く、租税情報交換条約への合意を求められるなど、国際社会からの強い圧力を受けている状況だ。最近では、欧州委員会の指摘を受けてエストニアで仮想通貨市場の規制強化が実施されており、欧州でも脱税やマネーロンダリングなどの金融犯罪に対処する動きが強まっている様子がうかがえる。それでも金融業界ではブローカーがオフショア市場へシフトする流れが加速しており、各国政府はこのトレンドにどのような策を持って対応するのか、今後もその動向を見守っていきたい。


Date

作成日

2020.05.14

Update

最終更新

2021.08.31

Zero(ゼロ)

米大学で出会った金融学に夢中になり、最終的にMBAを取得。
大手総合電機メーカーで金融ソリューションの海外展開を担当し、業界に深く携わる。
金融ライターとして独立後は、暗号資産およびブロックチェーン、フィンテック、株式市場などに関する記事を中心に毎年500本以上執筆。
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