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ユーロネクスト、証券集中保管機関VP Securitiesの支配権獲得を模索

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update 2021.08.31 15:32
ユーロネクスト、証券集中保管機関VP Securitiesの支配権獲得を模索

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VP Securitiesの株式70%と議決権を取得する意向

欧州最大の取引所の一つであるEuronext【以下、ユーロネクストと称す】は、欧州証券取引市場におけるプレゼンスの拡大に向け、北欧地域に注力する証券集中保管機関(Central Securities Depository)【以下、CSDと称す】のVP Securities(本社:Weidekampsgade 14 DK-2300 Copenhagen S[1])の株式70%を取得する方針であることを明らかにした。[2]

VP Securitiesは1980年にデンマーク・コペンハーゲンで設立され、自国の発行体向けの中核的なCSDとして機能するほか、IR(投資家向けの広報活動)ツールやサブ・カストディサービスを提供している。また、同社は北欧のCSDとして初めて中央証券預託規制(Central Securities Depository Regulation, CSDR)ライセンスを取得すると共に、欧州中央銀行(European Central Bank, ECB)が導入した大口資金決済システムであるTARGET2の参加機関でもある。

ユーロネクストは規制当局の認可が下り次第、2020年第3四半期初頭までにVP Securitiesの株式取得を完了させる見込みだ。今回の買収が完了することで、ユーロネクストの預かり資産は2.2兆ユーロに上り、今後はポストトレード業務の強化と北欧地域におけるプレゼンスの拡大を目指すという。尚、VP Securitiesの既存株主であるデンマーク国立銀行(Danmarks Nationalbank)と、同国の4大銀行に当たるダンスケ銀行(Danske Bank)、Nykredit、ノルデア銀行(Nordea)、ユスケ銀行(Jyske Bank)から株式を取得する計画である。また、ユーロネクストはVP Securitiesの全株式を11.2億デンマーク・クローネ(1億5,000万ユーロ)で買収する提案も行っている模様だ。

ユーロネクストは、傘下のCDSであるノルウェーのVPSとポルトガルのInterbolsaと共に、VP Securitiesがポストトレード業務戦略を推進させる中心的役割を担うと見ているほか、カストディ及び清算サービス機能の強化も図るという。また、今回の買収によりユーロネクスト傘下の各CSDにおいて、新たなポストトレードサービスの開発とテクノロジーのアップグレードを実施すると共に、各地域の金融エコシステムをサポートする信頼性が高くコスト効率の良いサービスを提供していく方針だ。

ユーロネクストがVP Securitiesを買収し、ポストトレード分野のサービス機能を強化することで、更なる顧客基盤の拡大が期待できそうだ。

release date 2020.04.27

出典元:

ニュースコメント

金融市場のバリューチェーン全体を網羅した経営を目指すユーロネクスト

パリとブリュッセル、アムステルダム、リスボン、ダブリンの証券取引所を運営するユーロネクストは、積極的な企業買収を通じて、欧州金融市場のバリューチェーン全体を網羅する包括的なサービスの提供を試みている。例えば、ユーロネクストはオスロ証券取引所グループの買収を完了させ、証券取引所の運営に加え、ユーロネクストの新3か年計画で注力分野に位置づけられている取引データ関連ビジネスの強化を図っている。また、ユーロネクストはCommcise社株を取得したほか、iBabs株を買収し、バイサイド及びセルサイド双方の業務の効率化や法人向けデジタルソリューションなど、多岐にわたる金融サービス機能を自社のエコシステムに追加している状況だ。尚、同社はアイルランド証券取引所(Irish Stock Exchange, ISE)の買収により上場関連収益が拡大し、2019年度営業収益の大幅増加に成功している。ユーロネクストによる、多岐にわたる最高クラスの金融サービス機能を備えた汎欧州金融エコシステムの構築に期待したい。


Date

作成日

2020.04.27

Update

最終更新

2021.08.31

プラナカンカン | Peranakankan

執筆家&投資家&翻訳家&資産運用アドバイザー

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プラナカンカン

国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。

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