作成日
:2018.12.21
2021.08.31 15:27
欧州最大の取引所の一つである、Euronext【以下、ユーロネクストと称す】は、英国・ロンドンを拠点とするソフトウェアプロバイダーであるCommcise(本社:4th Floor, Francis House, 11 Francis Street, London, SW1P 1DE
)の株式78%を2,700万ポンドで取得することを発表した。この度のユーロネクストによるCommcise株取得に際し、ユーロネクストのCEO兼取締役会長を務めるStéphane Boujnah氏と、CommciseのCEOであるAmrish Ganatra氏は、それぞれ以下のようにコメントしている。
Commciseの買収は、全てのお客様に対し、付加価値の高い商品・サービスを提供するという我々のコミットメントを示しております。Commciseの実績ある高付加価値サービスを活用することで、バイサイド(資産運用者)・セルサイド(証券会社など)双方のニーズを満たし、業務の簡略化と効率的なリサーチ情報の購入(利用)・手数料管理などを実現できるようになるでしょう。そして、Commciseの買収は、我が社が掲げるM&A(買収・合併)戦略を着実に実践させると共に、達成に向け積極的に取り組んでいる成長戦略プランとも一貫性を確保させております。更には、我が社のお客様に広範なサービスを提供する意向に沿うものでもあります。
Stéphane Boujnah, CEO and Chairman of the Managing Board of Euronext Mondo Visioneより引用
ユーロネクストによる我が社の大量株式取得は、我々のこれまで成し遂げてきた実績が評価されたものと認識します。我が経営陣は、ユーロネクストの一員として、更なる成長の実現に向けて挑戦するビジネス機会を手に入れられたことを大変喜ばしく思っております。我々はユーロネクストが掲げる経営戦略に完全に沿う形で、バイサイドやセルサイド、そして企業といったお客様に対し付加価値の高いサービスを提供していく意向であります。ユーロネクストは既に強固で巨大な収益構造を構築しておりますが、そこに我が社が加わることで、ユーロネクストと我が社が誇る顧客基盤に加え、新規のお客様に対しても高付加価値サービスを提供していけると考えております。
Amrish Ganatra, CEO of Commcise Mondo Visioneより引用
今回ユーロネクストが大量株式取得したCommciseは、金融機関向けに3つの主力商品を提供している。まず1つ目のCommciseBUYは、資産運用者向けのSaaS(Software as a Service、ソフトウェアをクライアント側に導入せず、提供者側で稼働させるソフトウェアを、ネットワーク経由でクライアントが利用するサービス)形式のクラウド型プラットフォームである。証券会社などのリサーチファームのリサーチ情報の購入(利用)及び適正評価を行うと共に、CSA(コミッション・シェアリング・アレンジメント、売買執行とリサーチの対価を分離)などの取引慣行に基づく、運用会社が証券会社などに支払う手数料調整・計算を自動で行う機能が付されている。資産運用者にとっては、CommciseBUYを活用することで、特にリサーチ分野において幅広い業者から選定及び適正な評価を下せるようになることが期待されよう。
2つ目のCommciseSELLは、ブローカーディーラーやリサーチファーム向けに、手数料管理やリサーチ情報サービスの適正価格の設定などに役立つ機能が付されたクラウド型プラットフォームである。そして3つ目のCommciseRPは、リサーチ提供に特化するなど独自サービスを手掛ける独立系リサーチ会社向けに、適正なサービス価格の設定や収益性向上につながるツールとして設計がなされている。
2017年5月、FXマッチングシステムを提供するファストマッチ社株をユーロネクストは買収し、続く7月にはオランダのポータルサービスプロバイダーであるiBabs社株をユーロネクストは買収している。そして、この度はリサーチ評価などの分野で定評あるソフトウェアを提供するCommciseの買収を手掛けており、M&Aを通じてより広範囲に亘るサービス提供を着実に実践していくユーロネクストの意図を汲み取るができ、更なる顧客満足度の向上が期待されよう。
release date 2018.12.21
ユーロネクストは、2000年にパリ、アムステルダム、ブリュッセルの証券取引所が合併し設立された欧州の取引所連合である。その後、2002年にリスボンとダブリン証券取引所が加入し、欧州最大の取引所となった。2007年には、ニューヨーク証券取引所を運営する米国のNYSEグループと合併しNYSEユーロネクストとなるが、その後、2013年に米国のインターコンチネンタル取引所が買収、翌年2014年にはインターコンチネンタル取引所がNYSEユーロネクストを売却し、ユーロネクストに戻っている。ユーロネクストの上場企業には、INGグループ、ダノン、ロレアルなど、欧州トップクラスの企業が名を連ねている。証券取引所の合併や買収は珍しいことではなく、その目的は、先物、オプションなどのデリバティブ取引の強化やサービスの拡充であり、今回のCommciseの買収もユーロネクストのサービス拡充を目的としている。今後もユーロネクストの多角化戦略は続いていくだろう。
作成日
:2018.12.21
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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