作成日
:2019.10.11
2021.08.31 15:29
欧州最大の取引所の一つであるEuronext【以下、ユーロネクストと称す】は、多岐にわたる事業計画や収益目標などを示した新たな3か年戦略プランであるLet's Grow Together 2022を公表した。
同プランの中でも、ファストマッチからブランド名を刷新したユーロネクストFXは、デリバティブを中心とした新商品の提供や、新たな顧客層及び市場開拓に注力すると共に、コーポレートサービスやFX、先進的なデータ分野のソリューション強化に向け投資を行っていくとのことだ。また、ユーロネクストはオスロ証券取引所グループの買収を完了したことにより、2020年までに1,200万ユーロのコスト削減と1,800万ユーロのリストラ費用の計上、WACC(Weighted Average Cost of Capital、加重平均資本コスト)以上のROCE(Return on Capital Employed、使用資本利益率)の達成を見込んでいるほか、ポストトレード関連サービスを革新的な付加価値ソリューションの提供ツールとして活用する意向だ。
更に新3か年戦略プランにおいては、2018年から2022年のオーガニック(既存の経営資源を利用して成長を実現すること)収益の成長率を2~3%、2020年のオーガニックEBITDA(Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization、利払い前・税引き前・減価償却前利益)マージンを60%超、配当性向を50%とする収益目標も掲げている。またユーロネクストは、独自の次世代型取引プラットフォームであるOptiqを活用した信頼性の高い代替的エコシステムの構築を模索すると共に、トークン化やカスタマイズされた取引モデル、AIなどの革新的なテクノロジーを活用していく見通しだ。
新3か年戦略プランの公表に際し、ユーロネクストのCEO兼取締役会長であるStéphane Boujnah氏は以下のようにコメントしている。
我々は更なる成長の機会を掴むと共に、革新と継続的な成長を続け、汎欧州市場インフラを構築するための新3か年戦略プランを本日公表するに至りました。我が社は金融市場のバリューチェーンの全領域でビジネス展開を図ることに加え、全てのお客様に最高クラスのサービスを提供することを目指しており、汎欧州金融エコシステムにおける我が社が果たすべき重要な役割を担っていく意向でもあります。Let's Grow Together 2022を実行に移すことで、これらのサービス展開を強化すると共に、ビジネスを変革し、各国のローカル経済とグローバル資本市場を結びつけるという目標を達成すると考えております。
Stéphane Boujnah, CEO and Chairman of the Managing Board of Euronext - EURONEXTより引用
また、ユーロネクストはオスロ証券取引所グループの業績を加味した2019年9月のアセットクラス別の取引高を発表しており、日次平均のFXスポット取引高は191.1億ドルと前年同月比2.5%増となる一方で、前月比では14.3%減に沈んだ。新3か年戦略プランの中で明らかになった重点戦略分野であるコーポレートサービスやFX、先進的なデータ関連において、今後如何なるソリューションを提供し顧客取引の拡大に結びつけるか注目したい。
release date 2019.10.11
今回ユーロネクストは、新3か年戦略プランにおいて、デリバティブなどの商品ラインナップの拡充に加え、コーポレートサービスとFX、先進的なデータ関連ビジネスへの投資を行っていくことを表明している。同社のコーポレートサービスは、300社を超える上場企業のインベスターリレーションズ(投資家向け広報)やガバナンス、コンプライアンスサービスなどを提供しているとのことだ。同分野はユーロネクストがCommcise社株78%を取得するなど、同社が得意とするM&A(企業の合併・買収)を通じた業容拡大と共に今後も市場拡大が期待される領域といえるであろう。また、FX分野では欧州全域で規制が強化されるなか、レポーティングなどのポストトレード関連ビジネスが注目されている。更に取引データ関連ビジネスに関しては、ユーロネクストが傘下に収めたオスロ証券取引所グループが保有する市場データを活用し、汎欧州で事業拡大を図る見込みである。なお、欧州における強力なライバルであるロンドン証券取引所グループもリフィニティブ(Refinitiv)を買収し、取引データ分野の市場シェア拡大を目指す意向であり、多くの証券取引所が同ビジネスを成長市場として位置づけていると推察される。ユーロネクストがこれらの3事業の市場拡大に向けて、如何なる投資戦略を講ずるのか注目したい。
作成日
:2019.10.11
最終更新
:2021.08.31
国内及び外資系金融機関に15年弱勤務し、現在は独立。
執筆と翻訳は、海外FXを始めとする金融分野を専門とする。
慶應義塾大学卒。
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